フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

下拵えから出張料理。

今回の出張料理は「自宅にある塊の肩ロースを焼いて欲しい。」という事で。

 

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たまたま以前から焼いてみたかった豚肉でしたので、現場で下拵えからやらせて頂きました。

火入れ時間は2時間弱だったでしょうか。

シットリした火入れだと真空調理と間違われるのですが、余程の大人数かオーブンが無いなどの理由が無い限りはオーブンで焼きます。

 

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冷蔵庫から出して常温に戻す時間だけ指定して、到着時から下拵えをして焼いてロースト。
お客様的には目の前で筋などを取ったり脂に切り込みを入れたりといった下拵え。その後の焼き方や自宅のオーブンレンジを使った火入れが見れて楽しかった様子です。

最初からずっと凝視されての出張料理は初めてでした(笑

 

ローストは料理人の腕の見せ所で、家庭のキッチン設備でどれだけ家庭料理と違うクオリティーでお出しできるか。

あれだけ喜んで頂けたら、仕込みも見せてしまう出張料理サービスも有りだと思いました。

まるで個別の料理教室ですね。

 

料理が美味しいのは当たり前で、出来る過程なども分かれば更に充実した食事になるかと思います。

出張料理でレストランのような調理やサービスは難しいと思いますが、出張料理でしか出来ない事もあると思います。

自宅、別荘で料理人が仕事をしたらどうなるかも面白いと思いますし、出張料理サービスの可能性をもっと拡げていけたらと思います。

 

畑、色々。

ウチのブルーベリーのシーズンが始まりました。

 

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ウチのブルーベリーは小粒で酸味の強い物が多いです。

むしろこの位の酸味の方が料理に使ったり、デザートで他のフルーツに合わせるには良い具合だと思っています。

 

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小さな畑ですが、毎日2〜3kgの収穫量にはなります。
始めは初収穫で楽しんでやりますが、一粒一粒の収穫は手間で暑くてで大変です、、。

 

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雨水を受けるフェンネルの花。

アスパラやカブなどの6月の野菜が無くなって、次の野菜に合う花や香りが畑にあふれます。

同じ様なハーブでもディルよりフェンネルの方が圧倒的に暑さに強いです。

 

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こんなに背が高いんです。

ワサワサと葉も使いたい放題。

今は八千穂漁業さんの信州サーモンや大岩魚のマリネに使っています。


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ボリジは今が満開。

次から次に咲いて、8月下旬までは使う事が出来ます。

鮮やかな青が夏の空の様な鮮やかさを添えます。


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こちらはディルの花。

咲き過ぎで料理に添えるにも硬過ぎますから、ビネガーなんかに漬けましょうか、、。

この後に種になって落ちた零れ種は、秋頃にスプラウトとして収穫します。

 

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今年はアーモンドが好調です。

例年とは比べ物にならないくらいのプックリ感。

フランス時代の生アーモンドが好きで、あれが使いたくて栽培中。

フランスから生アーモンドは虫がいるので輸入不可です。


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割るとこんな感じ。

フランス時代はこの白い生アーモンドを色々な料理に使いましたが、これはまだ食べれませんでした。

長野だから1ヵ月遅れでしょうか。

1ヵ月後にまだ割ってみようかと思います。

 

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畑の中で野ウサギ発見。

フランスから帰ってきて8年になりますが、畑で野ウサギを発見したのは初めてです。

鹿は沢山居ますけどね。

 

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子供でこれで隠れているつもりで動きません(笑

あまりに鈍いので草刈りで刈ってしまわないか心配。

この子の居そうなエリアは特に注意しています。

キツネやハクビシンもいますから、元気に育って欲しいものです、、。

(害を為さない獣には優しい。)

 

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畑に出ると毎日違う顔があって楽しくもあります。

この微妙な変化も料理に盛り込めたらいいですね。

 

7月は張り切って。

久しぶりに出張料理の写真を頂きました。

相変わらず自分自身は出張料理の写真を撮らない。

 

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今回は別荘のキッチンがカウンターという事で、お客様から正面の写真を頂きました。

 

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今回は長野ワイン縛り。

普段からSNSで繋がっているお客様なので、ご希望の城戸ワイナリーをズラリ。

県産ワインのオーダーももっと増えたらとは思います。

 

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先日のシトロンキャビアは半割りにしてお皿に添えました。

最初から粒々を取り出して料理に添えるのも考えたのですが、見た事の無い食材ですから丸を見て頂いてからお客様の方で押し出して使って頂きました。

あまりレストランでは見ない光景ですが、自分でやってみると面白いと思います。


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信州サーモンのタルタルにカリフラワー。


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今回は佐久穂町「のらくら農場」さんのふすまうどんを用いて麺類も。

上には取れ出したトマトとミントのソースに嬬恋であったワラビ、自家製ハーブミックス。

最近、フランス料理のレストランでも麺類を出すところが多いですよね?

 

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最近は牛肉のオーダーが増えています。

こちらは和牛とアンガス牛(赤身)の掛け合わせで程よいサシ加減です。

今では一般家庭でも低温調理をなさる方が多いので、ここはあえて普通のロティにします。

出来上がったお肉を食べて「シェフ、低温調理?」なんて言われますが、常温に戻す、焼き色を付ける、オーブンで火を入れる、休ませる、の基本が出来ていたらちゃんと焼けます。

同じ設備で同じ調理をして差が出るからシェフだと思いますし、料理自慢の別荘の方にもこちらの方がインパクトがあるみたいです。

真空調理だと完璧過ぎて、調理や味わいが機械的過ぎて好きではありません。

 

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この日はフライパンを1枚お借りしたのですが、後日にお客様から写真を頂くまでこんなデザインとは知らなかったです。

目の前のお客様がずっと見られていたそうです(笑

 

6月は団体予約ばかりでまとめてキャンセル、、。

数で言うと合計200名くらいですが、1人でやっている規模で200名キャンセルの売り上げは正直痛い。

6月は大変でしたが、7月、8月は張り切って料理の仕事がしたいですね。

沢山、ご予約を頂いているので頑張らないと!

黒耀キャビアと蝶鮫。

長和町の黒耀キャビアを頂いてきました。

 

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なかなか手の出せる金額では無かったのですが、お一人様20000円くらいの単価の高い依頼も増えて扱えるようになってきました。(普段は10000円〜くらい)

単価の高いご依頼も地元の高い食材は和牛くらいですし、あまり軽井沢のお客様は霜降りの和牛は喜ばれません。

少し値段の高い地元食材も研究して、積極的に使っていこうかと。

 

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見た目が鰤で弾力は河豚、栄養価は鰻以上と素晴らしい食材ではありますが、あまり馴染みの無い食材は敬遠されがちではあります。
地元食材を安く売る事は簡単で、適正価格で売るのはなかなか難しい。

軽井沢では沢山凄いシェフがいますが、佐久でしっかり地元食材を使いながらお金も頂けるシェフにはなりたいと自分は思っています。

それが今迄の経験を活かせた、今の自分に出来る地域貢献かと。

 

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久しぶりに蝶鮫の生簀も見てきました。

 

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元気に蝶鮫が泳いでいました。

 

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こちらは最大の8kgクラス。

 

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こちらの蝶鮫は「黒耀蝶鮫」と言っていますが、それはこちらの黒耀の水で育っているからです。


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この日も多くの方々が水を取りにいらしていました。

こちらの水は超軟水で、料理の出汁を取るには良いそうです。


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自分も少し頂いてきました。

日本で馴染みの軟水、ヴォルビックが60mg/Lに対してこちらは10〜20mg/Lと聞いています。

そのくらい世界でも珍しい水なんです。

 

頑張っている生産者の方々に貢献できるように、少しずつでも県産蝶鮫やキャビアを拡げていけたらと思います。

 

フィンガーライムのYanagi Farmを見学。

シトロンキャビアを生産する長野県喬木村「Yanagi Farm」さんを訪問してきました。

 

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シトロンはレモン、キャビアはあの有名な高級食材といった名前の、ほぐすとキャビアのような粒々の珍しい柑橘です。

 

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ライムキャビアフィンガーライムとも言われます
が、フランス時代に使っていたこちらが長野県で手に入るとは思いませんでした。

 

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他にもメイヤーレモンやピンクレモネード、スダチパッションフルーツなど、自分が県外、海外産に頼っていた食材を一気にカバー。
しかもレモンは生で皮まで食べれる素晴らしいクオリティー

 

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パッションフルーツやドラゴンフルーツまであるそうです。

ここまでくると南国過ぎて長野のイメージとは違ってしまいそうですね。

 

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シトロンキャビアは少しシーズンが早かったのですが、無理を言って少しだけ分けて頂きました。
軽井沢の夏のシーズンに酸味のアクセントとしては最適だと思います。

早速、今シーズンに使いたいと思います‼︎

 

出張料理の婦人誌掲載。

婦人誌「Richesse(リシェス)」夏号の軽井沢特集に掲載して頂きました。

 

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フランス帰国時から軽井沢DVDワイン会の料理担当をさせて頂き、大変お世話になったYさんに推薦して頂きました。

 

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パリに居た当時、ワインが好きでまとまった休みがあるといつもブルゴーニュに行っていました。

ブルゴーニュにいつも行っていると現地のガイドさんや料理人、ワイン生産者など、知り合いも増えていきました。

こうした状況で現地のワイナリーガイドの方から紹介して頂き、パリ観光のお手伝いをさせて頂いたのがYさんでした。

その際に「軽井沢に別荘があるので、帰国したら料理を作ってください。」とお話を頂いていました。

当時は社交辞令的な軽いお話だったと思います。

帰国後に独立、開業に向けて準備をしましたが上手くいかず、畑仕事をしながらどうしたものか、、と悩んでいた時にYさんから出張料理の依頼を頂きました。

 

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そこから大変なワインコレクターでもあるYさんのワイン会の料理を担当させて頂き、ワインとの相性を考えながら地元食材を勉強して地産地消の料理を作り、幾らでも星付きのレストランや料亭を食べ歩いているようなゲストの方々に鍛えて頂きました。

料理出しの後は自分もワインも試飲。

そしてワイン愛好家の方々の色々な人脈を作らせて頂きました。

自分にとっては今の働き方の基礎を作らせて頂いた大恩人です。

 

コロナの問題もありますから、益々軽井沢の出張料理の需要は増えるかと思います。
5、6月とキャンセル続きでしたが、先週辺りから急激に予約が入り始めました。
まだこの先どうなるかは分かりませんが、地元食材で今年のシーズンも最高のおもてなしが出来たらと思います!

 

(写真は取材が出来ない時期だったので、過去の物を使用しています。)

料理人のSNSの使い方を考える。

馴染みの生産者の方々から食材を頂いての出張料理。

 

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頂いた食材は1番良い状態で召し上がって頂けるように心掛けます。
お客様がいつもの馴染みある食材を食べて思わず「あっ、このカブ美味しい、、。」「サラダが美味しい、、。」と言われたら、してやったり。
長野の野菜、本当に美味しいです。

この会も良い仕事が出来ました。

 

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いつもお世話になっている佐久穂町「Golden Green」在賀さん。

在賀さんとはフランス帰国時の8年前からずっとのお付き合いです。


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佐久穂町のうその口という地域に畑がありますが、車で5分も下りれば高速道路(無料区間)に乗れて街中まですぐに行けます。

こんなに環境も良くてアクセスも悪くない。


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同じく佐久穂町「いそベジ農場」磯辺さん。


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こちらのスナップエンドウが大好きです。

比較的、中がぷっくりしての豆重視なので、取り出して大小に分けて使用します。

外皮は別で茹でたり絞って泡などに。

佐久穂町のカブもこの時期は素晴らしいです。

 

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こちらは小諸の極太アスパラ。

このサイズになるには10年物の株で無いと育ちません。

放っておけば太くなる訳ではないんです。

最近は太めのアスパラがスーパーにも並びますが、日数の経った中がスカスカの物が多いです。

 

 

あまりにネット上で料理の写真が溢れているので、自分はそろそろいいか、とも考えています。

自分が料理人を志す少し前は、フランス料理と言って田舎の人で分かるのは帝国ホテル、ニューオータニ、オークラの御三家に三國シェフくらいだったでしょうか。

それが「料理の鉄人」によって色々なシェフが脚光を浴びる時代になりました。

それは今でも続いている気がします。

 

こうした現状を見ると、寧ろこれからは料理人より生産者をフォーカスしようかと。

料理人は一歩引いた存在で良いかもしれません。

現状、自分の仕事の割合は仕入れ8:仕込み2くらいでしょうか。

仕込みをしないので、あまりインスタ映えや同業者ウケの良い料理ではありません。

ただ、余計な仕事をしていないので、生産者も納得の味わいにはなっているかと思います。

 

今は別荘の重要な仕事も増えましたし、別荘内のプライベート空間ではあまり携帯を出すのもどうかと。

昔は宣伝の為の写真を撮らせて頂きましたが、このくらいになると別荘内の情報を出さない方がスマートだと思います。

別荘の方がSNSにアップされていたら、また別の話になりますが、、。

 

自分がフランスにいた時にブログを書き始めた10年前はまだ料理の写真などの投稿は効果的でしたが、今はどうでしょうか。。

料理人が「料理の鉄人」や日本版「ミシュラン」で脚光を浴びて料理人を志した人もいると思いますし、今度は生産者が脚光を浴びてなりたい職業にしていく時代。

料理のアップはメディアや食べ手が発信してくれたら充分。

実際にコロナで食料自給や生産の場は見直されてきています。

 

色々とSNS対策も考えないといけませんね。