フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

第9回ア・ベーでコラボディナー。

恒例の尾山台「à Bêe(アベー)」コラボディナーを行いました。

 

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パリ時代からの友人、阿部シェフとお互いの出身地の食材、ワインを用いたコースメニューのイベントをして今回で9回目となります。

 

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アミューズは「鳥取産カブのピュレと雲丹、コンソメ

 

阿部シェフの実家から届いたカブを下層に流しています。

 

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最初に「グリグリ'17」(Funky Chateau)

 

大好きなファンキーシャトーの巨峰を使った微発泡ワインです。

中島さんのペティアンもそうですが、この時期にキンキンに冷やして飲みたいワインです。


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前菜は「信州産シナノユキマスのマリネ、山羊乳のババロアスナップエンドウ

 

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ここではいつも八千穂漁業さんの川魚を使いますが、9回目なので初めてシナノユキマスを使ってみました。

 

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柑橘と畑にあるレモンタイムでマリネしました。

身はかなり柔らかめだったので、いつもより厚めにカットしてあります。

上に少しだけドイツトウヒ(松の若芽)を飾っています。


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やっとウチの畑も花やハーブが充実してきました。

やはり前菜のお皿にたくさん盛り込むと鮮やかで華やぎます。


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昔、いつも業者さんが持ってくるマーシュが多過ぎて何故か自分が怒られていましたが、自分で育てれば使いたいサイズを使えます。


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小さなサイズは少し密植気味に種を撒くと上手くいく気がします。

種蒔きの時期(気温)を間違えなければ難しい作物ではないので、この時期には活躍してくれます。


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最近ではどこの料理写真にも乗っている気がするリーフアマランサス。

こちらも発芽率は90%以上ですから、簡単に育てられます。

このサイズにするのに1ヶ月くらいはかかりますけどね。


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この時期で1番好きな花がシブレット。

花は2年目から咲きますから、使いたい場合はかなり前から準備が必要です。

ここまでくれば、しっかり越冬出来れば毎年咲きます。

勿論、通常のシブレットとしても使えますし、何かを縛りたければ太めを選べるわけで使用の幅は広いです。


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自分で育てると摘む事や土や虫の除去など下処理に凄く時間がかかるんですけどね、、。

 

今が旬のカブは今回は佐久穂町の「いそべジ農場」磯辺さんの物を頂きました。

 

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ワインは「ソーヴィニョン・ブラン'16」(信州たかやまワイナリー)

 

県内のソーヴィニョン・ブランでこの値段では秀逸だと思います。

どうしても海魚の無い長野県では魚は川魚になりがちですが、そんな時に畑のハーブでマリネした川魚と県産のソーヴィニョン・ブランは良いマリアージュを奏でます。

ロワールのイメージですが、川魚とソーヴィニョン・ブランは定番ですよね。


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「境港の平目、おかわかめ、春菊」

 

魚は勿論、阿部シェフ出身の境港からです。

今回は平目が入りました。

貝類、マグロ、国産生ハムの出汁をそれぞれで別鍋で取った物を合わせた吸い物的な1品にしてあります。

 

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ワインは「梅垣 白'17」(奥出雲ワイナリー)

 

リースリングと他品種交配のオリジナル品種のワインは生産本数256本、、。

阿部シェフの出身地だから手に入るのですが、このワインがとにかく美味い。

今回の出汁系にはピッタリなワインだと思います。


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「東御産アスパラとコシアブラを練り込んだニョッキ、フロマージュレモングラス

 

この時期は太いアスパラが手に入るので、バターで焼いて添えてます。(卵の後ろ)

ワインがかなり樽の強いしっかりした白なので、春日「Bosqueso(ボスケソ)」さんのハードタイプのフロマージュ、生クリーム、レモングラス風味のバターでソースを作りました。

 

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「プレミアム シャルドネ'11」(城戸ワイナリー)

 

今回のイベント用に蔵を物色して出てきた城戸さんの買い葡萄の高級路線ワイン。

残念ながら生産者が高齢で、このヴィンテージを最後にプレミアムのシャルドネは造られていません。

この時期はまだかなり樽を利かせたリッチな造りなので、7年経った今でもまだまだ元気に飲めますね。


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「信州フランス鴨のロティ、腿肉、内臓、根曲がり竹のクロケット、クレソン」

 

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前回の記事で書いた信州フランス鴨を早速使わせて頂きました。

胸肉は骨付きでロティにして、腿肉、内臓類、はミンチにして根曲がり竹とクロケットにしました。

触った感じが脂が薄そうだったので初日は切れ目を入れませんでしたが、提供時に切ってみると意外と付いていたので2日目は切れ目を入れて少し脂を落としました。

 

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窒息鴨ですから血の滴る鴨肉らしい感じが凄く良かったです。

クレソンは小さな柔らかめはサラダに。

大きな葉はピュレにして、少し苦味が強かったのでハチミツで調整しました。

 

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「ヨイチノボリ ピノ・ノワール'11」(ドメーヌ・タカヒコ)

 

ナナツモリのまだ若い感じも良いんですけど、やはり樹齢30年を超える木村さんのピノ・ノワールを使用したこちらのワインは全然違います。

'08は当たり年ですが少し気合いを入れ過ぎたのか今のような造りになっていません。

逆に'09は今の貴彦さんのワインの傾向が出始めた年だと思いますが、不作の年で葡萄がイマイチ?

こう考えると'10からのヨイチノボリが良いと思いますが、そろそろ飲みきりたいところですね。

パスはまだ大丈夫だと思います。

ウチの土蔵で1番良い影響を受けているのがこのワインだと思います。

動かさない、暗い、温度変化が緩やかで小さいなど、やはり機械のセラーには限界があるかとこのワインを飲んでいると思います。


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「羊の低温調理、うすい豆、実山椒、木の芽」

 

仔羊でも無くマトンでも無くその中間だそうです。

草を与えて育つ羊は食べ物からその臭いが付くそうですが、こちらは穀物を与えているので生後が仔羊以上に経ってはいますがくさくありません。

脂まで美味しく食べる為に低温で長時間の調理をしています。

 

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「カイノワール'17」(奥出雲ワイナリー)

 

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プロフーモロッソ'15(アズッカ・エ・アズッコ)

 

メインは甲斐ノワール、プティヴェルド、2本の飲み比べにしました。

適当なタンニンがプティヴェルドの方が料理に合ったかもしれないですね。

 

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「イチゴ、牛乳ソルベ、ヨモギオイル」

 

信州、鳥取、両方のイチゴを加工して合わせました。

下には発酵イチゴのソース。

サワークリームのムースに牛乳のソルベ。

最後のオ・ド・ヴィをかける事で味わいを締めます。

 

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使ったオードヴィは「オードヴィ・ド・フリュイ」(小布施ワイナリー)

 

既に完売の信州のフルーツ(キウイ、プルーン、洋梨、桃、イチジク、柿、葡萄)を合わせた正しく「オードヴィ・ド・信州」

 

今回も土蔵にある秘蔵の信州ワインや出身地絡みのアズッカ(奥様が東御市出身)やドメーヌ・タカヒコ、奥出雲の貴重なワインまで、お互いの出身地で仕入れた食材と上手く合わせられたようでお客様の反応も凄く良かったです。

日本ワインで赤の熟成の可能性は感じる事がありますが、今回の城戸プレミアム'11を飲んで白の熟成も面白いな、と思いました。

日本ワインの進化は凄いです、、。

 

次回は秋頃の開催を予定してますが、節目となる10回目です。

何かもっと特別なワインを開けましょうか、、。

 

次回もよろしくお願い致します‼︎

 

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