フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

今年も白馬で誕生日。

今年も白馬で誕生日を迎えました。

立場上、シーズン中に動く訳にもいかないですし、あと何年かは白馬で誕生日というのもしょうがないですね。

それでもホテルスタッフが沢山祝ってくれました。

 

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皆でハッピーバースデーの大合唱とバースデーケーキ。

全くモテないシェフと記念撮影してくれました、、。

 

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外国人的な距離感で少し照れますね。

 

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朝食はいつもスタッフの焼いてくれたパンケーキなのですが、この日は特別仕様でした。

 

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夜は営業中にいつも来るシンガーがキッチンでバースデーソングを歌ってくれました。

 

12月に集まったワーホリなどで来ている多国籍の急造チームですが、こうした皆の心遣いに本当に感謝です。

 

スタッフのおかげで自分としては実質1年目のホテルレストラン業務もしっかり回り、来年に向けての課題も見えてきました。

NAGANOワインも置き始めましたし、外国からの来客ばかりのこのホテルから色々な事を発信していきたいと思います。
そして更に冬の白馬を盛り上げる為にも、地元などを巻き込みながら向上していきたいですね。

 

夏は軽井沢で素材を活かしたガストロノミースタイル、冬は白馬でアルコールの進むビストロスタイル。

そのシーズン以外の合間は畑仕事に保存食作りにフランス旅行。
いつも思い付きで遠回りはしていますが、今年も「出過ぎた杭は打たれない」位の気持ちで、こういう時代だからこそ出来る料理人スタイルを追求していきたいと思います‼︎

軽井沢でクロパラ水平、垂直ワイン会。

白馬は1日だけお休みを頂いて、恒例のDVD軽井沢ワイン会の出張料理に行ってきました。
今年最初のテーマは「Cros Parantouxの水平・垂直」でした。

 

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ラインナップは、
Jacques Selosse Substance NV (deg. Mar. 2006)
Jacques Selosse Mesnil-sur-Oger les Carelles NV (deg. Apr. 2011)
Henri Jayer Vosne Romanee 1er Cru Cros Parantoux 1980
Henri Jayer Vosne Romanee 1er Cru Cros Parantoux 1999
Emmanuel Rouget Vosne Romanee 1er Cru Cros Parantoux 1989
Emmanuel Rouget Vosne Romanee 1er Cru Cros Parantoux 1998
Emmanuel Rouget Vosne Romanee 1er Cru Cros Parantoux 1999
Meo-Camuzet Vosne Romanee 1er Cru Cros Parantoux 1989
Meo-Camuzet Vosne Romanee 1er Cru Cros Parantoux 1995
Meo-Camuset Vosne Romanee 1er Cru Cros Parantoux 1999

 

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目玉は勿論、ジャイエのクロパラ'99、'80です。

一体、幾らするのでしょうか、、。

 

料理は5品作りました。

 

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自家製鴨の生ハムと東御産イチゴ、中野産紅玉の塩タタン、春日「Bosqueso」フレッシュチーズとホエーソース

 

いつもはワインの相性関係無く、アミューズ辺りで信州の川魚(信州サーモン、岩魚、山女魚など)を使用しますが、今回は赤のみで凄いラインナップだったので最初から肉系にしました。

自家製の鴨の生ハムをスライスして、一つには東御市のイチゴ(東御、小諸界隈はイチゴの産地で有名です。)、もう一つには中野市で購入して秋に仕込んでおいた紅玉の塩タタンを添えました。

生ハムとフルーツだけでは味が淡白なので、先日地元にオープンしたチーズ工房「Bosqueso」のフレッシュチーズとホエーソースを添えました。

 

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フレッシュチーズやリコッタ、色々あったので、工房でどのチーズが合いそうか試食をしながら考えました。

 

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春日「Bosqueso」カチョカバロ焼き、佐久穂「GoldenGreen」ほうれん草のクーリ、ウワミズザクラ、胡桃オイル

 

前菜も同じ考えで「Bosqueso」のカチョカバロを焼いてみました。

添えたトーストは地元のブーランジェリー「Lien(リアン)」平川さんに特注で作って頂きました。

 

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平川さんに特注で焼いて頂いたバケットを凍らせてスライス。

少し反らせて焼いてみました。

 

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緑は佐久穂「GoldenGreen」在賀さんのほうれん草を牛乳とバターで回してピュレを作りました。

柔らかい葉は生でサラダ仕立てにして添えてあります。

アクセントには赤玉葱のピクルス(かなり味わいは抑えてあります。)にウワミズザクラの塩漬けを添えました。

 

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蕎麦バターを詰めた東御産菊芋のコロッケ、クロカワ、アミタケ、ハトムギ、天然キノコの泡

 

今回のワインのラインナップに出す料理を考え始めた時に、ブルゴーニュの友人に相談しました。

そこで昔、クロ・パラントゥの畑はトピナンブール(菊芋)の畑だった事が分かったので、菊芋で1品作りました。

 

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中には先日のフランス旅行で購入したボルディエの蕎麦風味のバターを忍ばせました。

 

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左からアミタケ、クロカワ、香茸です。

つけ合わせはこの乾燥キノコ(クロカワ、アミタケ)にハトムギ

秋に仕込んでおいた天然キノコのコンソメを詰めてカプチーノ仕立てにしました。

ストーリーがあって、良いお皿になりました。

 

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妙高地鶏のロティ、東御産白土馬鈴薯のピュレと卵、香茸ソース

 

こちらはパリ時代に働いていた「Passage53」でブルゴーニュに合わせる鶏、じゃがいも、卵、キノコの鉄板組み合わせを少しアレンジしました。

 

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いつもなら信州黄金シャモを使用するのですが、今回は入荷が無いという事で妙高地鶏を使用しました。

結果は上々で、身が厚くて味わいも良いこちらの鶏は凄く好評でした。

 

ソースにはパリ時代はトリュフを入れたりもしましたが、こちらは信州なので香茸を入れました。

これがまた良かったみたいです。

 

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仔猪のロティ、佐久穂産人参のピュレ、ブランデーに漬けた干し柿

 

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良い仔猪が入ったので、3種類の部位を楽しんで頂きました。

つけ合わせはこの辺りでクロパラ'80ですから、少し枯れた感じの色に合わせて人参を選択。

意外と色で食材を合わせるとハマる事があります。

枯れたニュアンスが欲しかったので知人の作る干し柿を購入。キレを出す為にその干し柿をブランデーで1週間漬けておきました。

 

あくまでワイン会の趣旨がソムリエO氏の講義を受けながらのワインの飲み比べなので、料理は控えめに。(合わせない訳では無いですが、、。)

特に今回はワインのラインナップが凄過ぎるのでいつも以上に控えめにしました。
前半は「Bosqueso(ボスケソ)」のフロマージュ推し。
クロパラントゥの畑が当時はトピナンブールの畑だったという事で菊芋を使用。
Passage53で作っていたブルゴーニュの古酒に合わせる鶏、ジャガイモ、卵、キノコの鉄板組み合わせ。
仔猪にバランスを取る為に先日バーテンダーに教わったドライフルーツのブランデー漬けを。

地元食材には拘りますが合わせるのがフランスワインですから、バターや調味料、オイルは先日のフランス旅行で買い出した拘りの物を使用しました。

前半の地元推しから、最後につれてマリアージュと良いムニュになったかと思います。

 

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料理を出せば、自分もゆっくり試飲が出来ます。

 

こんなワイン会の料理を担当出来るのもなかなか無いわけでとても光栄な事です。
他に専門誌に載ったり、星を取ったりと有名なシェフはたくさんいますからね、、。
大変ではありましたがやってみないと分からない事もありますし、この経験を活かして更に上を目指したいですね。
フランス料理人ならワインの知識も必要だと思いますが、こんなワインを頂ける事に本当に感謝です。

 

今年も良いスタートがきれました。

更に地元食材を更に勉強して、ワイン(特にNAGANOワイン)に寄り添う料理が作れるように邁進していきます‼︎

 

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白馬から買い出し。

白馬の夜営業を終えて深夜移動で佐久に戻り、朝からワイン会の出張料理の為の買い出しをしてきました。

いつもお世話になっている地元の友人、知人から野菜、パン、フロマージュなどを仕入れてきました。

 

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佐久穂「GoldenGreen」在賀さんから寒さが厳しくなって甘みの増したほうれん草を。

 

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一つ一つ丁寧に選んで頂きました。

 

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料理に使うパンは佐久「Lienりあん」平川さんに特注で作って頂きました。

こちらを凍らせてジャンボンスライサーで薄くスライスして焼いた物を作る予定。

 

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フロマージュは先日オープンした春日「Bosquesoボスケソ」是本さんから購入。

 

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一つ一つ味見をさせて頂きながら、今回のワイン会では何を使うか考えていきました。

どれも美味しいです、、。

 

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フレッシュチーズとホエーソースは白馬スタッフに購入したお土産です。

 

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乾燥キノコは伊那の名宿「ざんざ亭」長谷部さんに送って頂きました。

左からアミタケ、クロカワ、香茸です。

今年は自分もこうした乾燥キノコをシーズン中に作って保存しておきたいですね、、。

 

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軽井沢の時にいつもお願いしている中野な肉業者の方にお願いして、妙高地鶏を購入しました。

なかなか日本では冷凍ばかりで、良い丸のフレッシュは無いんです、、。

 

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こちらも「ざんざ亭」長谷部さんから送って頂いた仔猪です。

 

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前回が仔鹿だったので、良いタイミングで入ってきて良かったです。

鶏は決まりでしたから、最後の赤肉を何にするかなかなか決まりませんでしたからね。

やはり骨付きで焼きたいので、フィレを傷付けないように2つに割って別荘のオーブンに入るサイズにしておきました。

バラは賄いですね、、。

 

良い仕入れが出来ましたから、週末の白馬の仕事と並行して仕込みです。

日程的にはかなり厳しいのですが、今回はいつにも増して凄過ぎるワイン会です。

出来る事は何でもやって、満足して頂ける料理を作りたいと思います。

 

 

お国変われば。

先日、フライヤーの固めた廃油を捨てる指示を出したのですが、その作業でやたらとはしゃぐオーストラリア人とニュージーランド人。

 

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聞くと油を固めて捨てるのが初めてだそうで、ヌルヌルした感触が面白いとの事でした。

 

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ではオーストラリアではどうしているのかというと、廃油は建物の外にある大きな缶に貯めて、トラクターなどの燃料に再利用するとの事でした。
日本みたいに固めて捨てる事は無いそうです。
下手をしたらそのままトラクターに入れて使うみたいで、そのトラクターからは「フィッシュ&チップス」の香りがするそうです(そんな事をして壊れないのか⁇)

 

 自分は厨房で出た生ゴミを堆肥に変えて畑に還して食材を作り、収穫してまた厨房で使うという循環型レストランを考えていますが、使用した廃油を耕耘機などに使えるかもしれないというのは面白いです。

これは今迄の自分の考えにはありませんでした。

家庭で作る堆肥のマシーンのように、廃油をバイオディーゼル燃料に変える気軽な機械はないのでしょうか?

 

白馬にいるとたくさんの海外からのスタッフと働く事になりますし、そこから彼らの自国の生の情報を得られます。

意外と日本では当たり前の事が海外ではまた違う訳で、毎年異なるたくさんの外国人と生活していると何気に新しい発見があって面白いです。

もっと語学力を高めて、自分も彼らから色んな事を教わろうかと思います。

 

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待望の雪到来。

大寒波で日本中が寒さに覆われていますが、白馬ではやっと待望の雪が降りました。

 

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山の上は積もっていましたが、ホテルの前のゲレンデもようやく積もってリフトも動き出しました。

歴史的な雪不足だった昨年並みかとも思いましたが、昨年よりは早く稼働し始めました。

 

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こうなると今度は雪掻きが大変ですが、ホテルスタッフもどこか楽しそうです。

 

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送迎用の車もこの通り。

駅に到着の海外からのお客様を迎える為にも急ピッチで掘り起こします。

数日で何台もスタックを起こして大変でしたから、気を付けて頂かないと、、。

 

雪到来で客足も伸び始めましたから、自分も厨房でせっせと仕込みです。

 

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暖炉の火と真っ白なゲレンデを眺めながらの食事は最高だと思います。

夜は前のゲレンデでナイタースキーもあるので、夜も綺麗なんです。

 

ここ数日はそんな理由から凄くお客様にお越し頂きました。

少し遅くなりましたが、これからが営業本番ですね。

 

もう少しスタッフが仕事に慣れてきたら、自分も体慣らしにスキーに出かけようかと考えています。

これから3月まで突っ走ります!

 

 

 

ローカル・ガストロノミーの可能性を考える。

昼営業の無い平日の時間を利用して、南魚沼市で行われた「ローカル・ガストロノミーの可能性」〜食の豊かさは地方に眠る〜の勉強会に参加してきました!

 

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講師は元星野リゾートのレストランディレクターの菊池博文さんでした。

 

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内容は星野リゾートのガストロノミーレストラン「ユカワタン」の開業からの軌跡を見て行きながら、地方の食の可能性を追うといった内容でした。
昨年も山梨で行われた奥田シェフの講習会に参加してきましたが、やはり地方の食材、食文化を見直す事の重要性を説いておられました。
ただ、これは料理人視点ですが、やはりそこには顔になるカリスマ的なシェフがいる事も重要かな、と思いました。
良い食材があっても調理をする人が優れていなければ感動を与えるような料理にはなりません。
ユカワタンなら浜田シェフの存在が重要ではないでしょうか。

近場で言えば富山「L'evo」の谷口シェフ、ちょうど放送のあった滋賀「徳山鮓」徳山さんなど、そこにはやはり優れた料理人がいます。

ガストロノミーレストランでお客さんを呼び込んで、観光、他の産業にも良い影響を与える例でサンセバスチャンも紹介されましたが、サンセバスチャンにもアルサックやベラサテギといったスターシェフが存在します。

 

それでは誰を?といった話になりますが、社内なら選抜も容易だと思いますが、地域だとお互いの利害関係でなかなか難しいでしょうか。

また、やはり顔になるようなシェフなら地元の人間が良いと思いました。

他所から来ていきなりその地域を引っ張るというのも違う気がします。仮に移住組でも、地元で認められるまで時間が必要でしょうね。

 

自分も佐久で勝負していますが、これからの時代は優れた料理人ほど地方で勝負するべきだと思いますし、その地域を引っ張る料理人になっていく事が重要だと思います。

もっと言えば地元に帰るべきだと思います。

裏方だった料理人が表に、その地域の先頭に立てる時代になってきているわけですからね。

 

ちなみにこの勉強会は南魚沼市を含めた雪国観光圏7市町村の勉強会でしたので自分の活動地域とは関係性が無いのですが、自分なら何をするでしょうか?

米どころのイメージがありますから、究極に美味しい米を炊く昔ながらの釜焚きに雪国ならではの保存食を添えて日本酒でしょうか。
ベタですが、そこを突き詰めて行った先に答えがあるような?

 

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大雪警報が出る中で白馬から雪道を走って片道4時間でしたが、実りある勉強会に参加出来て良かったです。

 

明けましておめでとうございます'17

明けましておめでとうごさいます。

 

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今年も白馬で総料理長を務めるホテルレストランで新年を迎えました。

宿泊のお客様も外国からが多い事ので、スタッフもワーキングホリデービザで日本に来ている外国人スタッフばかりです。

 

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外国人に囲まれて、日本とは思えない中での新年でした。

これはこれで楽しいものです。

 

2017年を迎えて、もう1度自分の考えをまとめてみたいと思います。

 

フランスでも凄いシェフを見てきたので、この業界で自分が生き残っていくにはどうすれば良いかを考えました。

それには地元で勝負するのが1番という事でフランスから本帰国しました。

 

日本の飲食業は長時間労働で休みも無く、給料も他の業種と比べて多いとは思いません。

ひと昔前ならフランスから帰国してシェフになれば昔の何倍も給料を貰える、なんて話もありましたが、実際にはネット社会になりお客さんの方が飲料に関しても詳しくなってしまったので売り上げは上がりません。

そもそもフランスから帰国してシェフをやっての成功事例は社会にそのニーズがあったのと料理人の夢が上手くリンクした訳で、更にライバルが少ない中で沢山のパイを分けられた環境があったからだと思います。

今ではフランス帰りは珍しくありませんし、当たり前のように皆が新規オープンするので、ただでさえ少ないフランス料理のパイを皆で取り合う状態でしょうか。

お客様も知識が豊富なので、間違えれば簡単に新しいお店に移られてしまいます。見切りが早く、あまり長い目では見てくれません。

はっきり言えば今の飲食業(フレンチ業界は特に)にあまり開業するメリットは無いと思いますし、やるなら昔以上に準備が必要なのかもしれません。

 

自分が運が良かったのは、地元に軽井沢というリゾートがあった事です。リゾートのメリットは集客の必要が無い事です。

シーズンなら来ますし、オフシーズンなら来ません。お客さんの流れが分かり易いです。

 

それに立地やブランドイメージも素晴らしい。

都市部からの距離、アクセス。長野県が持つ野菜や果物が美味しいブランドイメージ。

飲食業は儲からないと思いますが、シーズン中なら利益を上げられるので、その時だけは素材を活かした飲食業をやれば良いのでは?と考えました。

 

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理想のレストランは?と聞かれたら迷わず「Bras」と答えると思います。

自分はブラのような料理が長野で作りたいです。

その為にも軽井沢のシーズンはGW、夏、紅葉ですから、その空いた時間は飲食をやらずに畑仕事に費やしました。

 

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元々、自分の実家は果樹園なので、果樹の手伝いもしながら空いている畑を貰って畑仕事を始めました。

 

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そこで祖母が元気なうちに畑仕事を教えてもらいました。

最初は耕耘機もまともに動かせなかったのですが、随分サマになりましたね。

 

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地元には新規就農の素晴らしい同世代の仲間が沢山いますから、自分は彼らが作らないけど自分は使いたいハーブや食用花を育てました。

 

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5月から種蒔きをすれば軽井沢の夏のシーズンには採り放題です。

 

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更に空いた時間には祖母に聞きながら親戚の畑や川にも行きました。

 

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川には天然のクレソンやワサビ、セリなどが沢山ありました。

こうした土地に入り込めるのも、親戚や知り合いが沢山いる地元だからです。

 

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勿論、秋になればキノコも沢山採れます。

 

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果樹園の特性を活かして果実酒も大量に仕込み始めました。

写真は漬け始めた初年度の物です。

帰国した年から漬けているので、古いのでようやく4年になりました。

 

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ワインが好きなので、県内のワイナリーには、積極的に足を運ぶようにしています。

今は日本ワインの勢いが凄いですし、長野県はワイン県を目指して動いています。

僕は地方でフランス料理の成功する場所は長野県しか無いと考えています。

地産地消と言っても、ワインまで数多く揃えられるのは長野県だけです。

北海道は都市部からは遠いですし、海から近い場所は海の幸を活かした鮨や和食が強いと思います。これも長野県の海無し県のメリットです。

 

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フランス時代からワインを勉強していたので、帰国後も軽井沢で行われるワイン会の料理を担当させて頂いてます。

 

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こちらはDRCエシェゾーの会のワイン。

料理人の小遣いでは購入出来ませんが、こうした機会を頂いて沢山の一流ワインを飲ませて頂きました。

この経験は地元の活動に活かしたいと考えています。

 

軽井沢の閑散期にはフランスにバカンスを考えていました。

元々、このフリーな働き方を始めたのも、冬にバカンスでフランスに行く為です。

冬なら食材の移動も苦ではありません。

 

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目的の一つはワインの回収です。

パリ時代から日本では買えないワインの購入先を作っていました。

何回も通った結果、自分の分を毎年確保してくれています。

こうした方々にお土産を持って引き取りと同時に直接お礼がしたかったからです。

 

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今思えば、よくこんなワインが買えたと思います、、。

 

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2つ目はワイナリーの訪問です。

県産ワインの位置を正確に把握する為にも、やはりフランスの本場のワインを飲んで、その味わいを抑えておきたいですね。

 

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3つ目はフランスの調味料の調達です。

軽井沢の出張料理では少量で品質の良い物が求められます。

 

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バター、塩、スパイス、オイルなど、日本未入荷の物もパリの友人シェフにお願いして取り寄せて頂いてます。

 

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4つ目は食べ歩きです。

知り合いのお店を中心にガストロノミー、ビストロと色々と食べ歩いて、今のフランスを感じてきます。

フランス料理の料理人ですから、やはり本場の料理は味わいたいですね。

 

帰国して思ったのですが、日本に長く居るとまた日本の空気に染まりきってしまう気がします。

ですから年1回でもフランスに来て、フランスの空気に触れてフランス語を話す事は凄く大切な事だと思います。

自分の中のフランスをいつまでも残しておく為です。

 

1年の流れが上手く出来てはいたのですが、どうしても冬の収入は弱かったです。

ところが、昨年から白馬のホテルレストランのシェフの依頼があったので引き受けました。

 

ここは外国人オーナーなので公用語は英語。

短期留学シェフみたいで、かなり良い経験になっています。

やはり今の時代は料理人でも英語くらいは話したいですね。

スタッフも外国人が多いので凄く刺激的で、更には冬しか働かなくて良いというのも自分にはメリットでした。

 

自分はフランスではガストロノミーでもビストロでも働いてきました。

軽井沢ではシンプルで素材の良さを活かしたガストロノミーを提供し、酒飲みの外国人が集まる白馬ではビストロの料理を提供しています。

自分のフランスの経験が全部活かせています。

あくまでメインは佐久、軽井沢なので、白馬はこれから数年で誰が来てもある一定のクオリティの物が作れるレシピを構築して、コンサルタントで動けるのが理想だと思います。

まだ30代なのでこの生活でも耐えられますが、40代以降では厳しいですからね、、。

 

 夏は軽井沢、冬は白馬。

合間に畑仕事、バカンスでフランス。

綺麗に1年間が回るようになってきました。

今はお店を持たないスタイルですが、空き家などを改修してテストキッチンを作り、そこから色々と発信出来たらと考えています。

将来的には60歳近くには畑メインの週末レストラン、農家オーヴェルジュを目指します。

その為にも今はそれぞれのクオリティを上げながら、更に充実した1年にしていきたいと思います。

今までの経験を活かして、更に地元で活躍出来るように頑張ります!