第11回ア・ベーでコラボディナー。
年2回恒例のパリ時代の友人、阿部シェフとのコラボディナーを尾山台の彼の店で開催致しました。
お互いの出身地(長野、鳥取)の食材、ワインを合わせる企画も今回で11回目です。
ウチの畑の脇にたくさんあるヨモギをペースト状にして、ゴーフル生地に混ぜました。
上にはレフォールサワークリームに阿部シェフのご実家の食用花やハーブ。
最初の泡をシードルにしようと考えていましたが、沢山あるのでどれにするか決めかねていました。
ちょうど馴染みのワイン屋さんに相談したところ、薦められたのがこのシードル。
正直、信濃ワインさんにあまり良い印象が無いのでどうかと思いましたが、山梨で修業された息子さんが戻って造ったとの事。
確かに今迄のワイナリーのエチケットの印象とは違いますね。
同価格の他ワイナリーの泡より下手をしたら優れていると思いますし、これから造られるワインも注目したいです。(今回はフジだけだったので、他品種の投入も面白そう。)
前菜は久しぶりに使う八千穂漁業さんの信州サーモンをタルタルにして蕎麦粉のクレープで巻きました。
東御の立派なアスパラが出てきたので、中くらいは塩茹ででこちらの冷前菜。
極太はバターで焼いてメインの鹿の付け合わせにしました。
自宅裏の茗荷の畑から茗荷茸が出てきたので、刻んでタルタルに混ぜました。
野蒜は軽く湯掻いて添えました。
ワインは高山村「Fukuihara Blanc'17」(ドメーヌ長谷)
リースリング、ソーヴィニョン・ブラン、ゲヴェルツ、シュナン・ブランなどから造られる混植混醸ワインです。
信州サーモンのような川魚を合わせるのにソーヴィニョン・ブランが一般的ですが、そこは少し変化球。
蕎麦粉のクレープや山葵クリームが良いアクセントになって合いましたね。
境港の活〆平目とポアロー、菜の花、酸味の効いたブールノワゼットのソース。
玉葱を先にしようか悩みましたが、奥出雲ワイナリーのセミヨンと合わせたかったのでサーモン後に出しました。
甘酸っぱいソースがセミヨンと良かったです。
ワインは前述の「横町セミヨン'18」(奥出雲ワイナリー)
横町さんの葡萄を醸造したこちらのワインの生産量はたったの122本。
阿部シェフのコネクションで購入。
やっと出始めた上田の葉玉葱をキャラメリゼして、鳥取の豆類とブールブラン。
玉葱の甘さ、キャラメリゼの香ばしさ、バターのコクを城戸さんのシャルドネと合わせました。
「プライベート・リザーブ シャルドネ'14」(城戸ワイナリー)
久しぶりに飲みましたが、やはりしっかり樽が効いてますね。
この樽のニュアンスがキャラメリゼと合ったと思います。
最初にここで貴彦さんのピノを出す事は決まっていました。
和出汁のニュアンスのある貴彦さんのピノなら和っぽいワインでも良いかと。
東京ではGW辺りで終わりと騒がれていた花山椒も東信では今が良い時期です。
こちらをイノシシで取った出汁と合わせました。
ワインは「ナナツモリ ピノ・ノワール'14」(ドメーヌ・タカヒコ)
会の趣旨でいくと信州産では無いんですけど、小布施ワイナリーの彰彦さんの弟さんということで。
ファーストヴィンテージが'08ですが、北海道に販路が無い事から小布施ワイナリーの販路でリリースしていたのだと思います。(勝手な憶測)
昔は長野の酒屋さんに行けば沢山購入出来たんです。
そんな名残で、ウチの蔵にはまだ沢山の貴彦さんのワインがあります。
残数や熟成の具合を考えて、今回は'14にしました。
こちらはシークレット・ワインの「ドメイヌ・ソガ ピノ・ノワール'02」(小布施ワイナリー)
たまたま購入してあった小布施ワイナリーのピノ'02。
実は阿部シェフがこのイベントの1週間前に怪我(鎖骨骨折)をしまして調理出来ない状況でした。
代わりのシェフをお願いしましたが、お客様に迷惑をかける事には変わりないので、シークレット・ワインとしてサービスさせて頂きました。
最近のロゼのような「クレレ」を熟成させたイメージでしたが、全くヘタリもありませんでした。
2000年代前半は力強いピノを意識的に造られていたそうで、20年近い熟成にも耐えたんですね。
最後の小公子の後に出す予定でしたが開けて試飲した印象が鹿よりイノシシだったので、このお皿のタイミングでお出ししました。
狙い通りにお客様から歓声が上がりました。
確かに予想以上にこのワインは素晴らしかったです。
メインは鳥取産の鹿肉に東御の極太アスパラと相木村のクレソン。
最近ではスーパーでも並ぶようになった極太のアスパラですが、中に空洞があったり筋っぽい物も。
こちらは全くそんな事が無いしっかり中身の詰まった瑞々しい極太アスパラです。
その歯応えを感じて頂くためにも、下をペティナイフでギリギリで皮を剥き、バターでゆっくり火入れをしました。
大きくなり過ぎるまでは川に行ってクレソンを摘んできます。
柔らかい葉はサラダに、大きめの葉はピュレにして、掃除した茎は川に返します。(繁殖力が強いので、茎からでも根が出て増えていきます。)
ワインは「小公子 アンウッディッド'18」(奥出雲ワイナリー)
山葡萄由来の酸味の強いワインになりがちな小公子ですが、こちらは果実味もあって酸味のバランスが鹿肉とちょうど良いです。
実は生産者の方から今回の小公子は良く出来たので是非!という事だったので、ワインから料理を考えていきました。
貴重なワインでしたが、こちらも好評で良かったです。
デザートは東御産のイチゴのコンポートとルバーブコンフィ、ハーブジュレ、ヨーグルトのソルベ。
信州で最初に出てくるフルーツが杏やブルーベリーだと思いますが、まだ先ですね。
冬から杏の時期まではイチゴで凌ぎます。
東御市のイチゴに阿部シェフのご実家のルバーブやハーブを合わせました。
〆のワインは「スパークリングロゼ E1 」(小布施ワイナリー)
以前にも出した事があるのですが、こちらのデゴルジュマン(澱引き)は2018年11月です。
やや甘のロゼワインがイチゴとよく合いました。
阿部シェフ負傷などアクシデントはありましたが、シェフを1人呼んだ事でお客様と話す時間は増えました。
こんな会ももしかしたら良いのかもしれないです。
次回は秋頃になると思います。
毎回、貴重な日本ワインを出していますが、12回でそろそろ在庫が危なくなってきましたね(笑