フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

第7回ア・ベーでコラボディナー。

先月ですが、尾山台「à Bêe(ア・ベー)」コラボディナーを行いました。

 

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パリ時代の友人、阿部シェフと自分達の出身地(鳥取、長野)の食材やワインを持ち寄ってのコラボディナーも今回で7回目です。

今回は前回から1年開いた事もあってアッという間に満席。
急遽、10席から12席に増やしたので、その分という事でワインも1種類追加しました。

山陰の海の幸に信州の山の幸と普段は使わない食材もあるので、やっている自分達も面白い企画です。

 

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こんな会だからと生産本数の少ない希少な日本ワインを多数お出ししますし、ウチの蔵で適度に熟成した日本ワインの状態も最高に良かったです。

 

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アミューズは発酵飯のおかきと山葵サワークリーム、アスパラ(細)、山葵の葉。

 

暑い時期ですから酸味、辛味のあるアミューズはスターターにピッタリです。

この時期なら山葵とアスパラ。

 

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アスパラはアミューズに扱い易いように細い物を選びました。(紫はこの後のお皿で紫色を活かしてサラダ仕立てにしました。)

 

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山葵の葉は近所の川で飾り易いサイズを摘んできました。(写真は前回の軽井沢ワイン会の物です。)

 

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「Lettera レッテラ 秋の手紙'16」(Azucca e Azucco)

 

基本的にはお互いの出身地のワインがメインですが、愛知県豊田市の今注目のアズッカさんのワインを採用しました。

アズッカ須崎さんの奥様が東御市出身という事で妙に親近感が、、。

人気のワインで手に入らないのですが、東御市で購入可能なのでお出ししました。

シャルドネ主体の少し濁った発泡ワインはワサビ、サワークリームにピッタリだと思います。

 

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八千穂漁業さんの大王岩魚のマリネと自家製ハーブ、ライムのジュレと独活」

 

この時期の冷前菜では地元イチ押しの八千穂漁業さんの川魚を採用します。

今回は今シーズンからリリースの大王岩魚を使いました。

今回のコラボディナーでは生産者の佐々木君が来てくれたので、色々と合わせずにハーブサラダくらいでお皿をまとめました。

 

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「ノーラベル NV」(小布施ワイナリー)

 

名前の通りでエチケットはありませんが、リースリング主体の白ワインです。

川魚というとソーヴィニョン・ブランですが、信州のワインはその品種で単純に計れない味わいもあります。

大王岩魚に独活やハーブの合わさる味わいに、いつも綺麗にワインを造られる小布施さんのワインが合うのでは考えました。

 

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「島根ホワイトアスパラ、カルボナーラソース、国産生ハム」

 

奥出雲ワインの親会社である木次乳業の社長佐藤さんからの紹介でアスパラ農家さんから仕入れた白アスパラ、佐賀の生ハム、佐賀の生ハムの出汁をベースにカルボナーラのソースを添えました。

 

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「Private Reserve Pinot Gris'12」(KIDOワイナリー)

 

バターで焼いたホワイトに卵黄、生クリームのカルボナーラソースと少しリッチな味わいにしっかりした白を合わせました。

個人的には前年のピノ・グリと比べたらスッキリした味わいで長野の'12のイメージとは違ったのですが、これはこれで良かったかなと、、。

 

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「境港の平目に古代米と山独活、コシアブラのリゾット、シジミ出汁の泡」

 

長野ではこんな天然の平目は使えませんね。

これがコラボの良いところでしょうか。

ちょうど畑のコシアブラが大きくなったので、天ぷらには向かない大きな葉を刻んでリゾットに加えました。

山と海のコラボは信州、山陰コラボらしいですね。

 

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「梅垣 白'16」(奥出雲ワイン)

 

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生産本数はたったの171本。
葡萄栽培家の梅垣さんが自ら作るオリジナル品種で、リースリングと山葡萄交配品種、野の香との交配品種を醸造

世界のどこにも無い、日本ワインの可能性を感じるワインです。

個人時には今回のイベントでは、貴彦さんのブラン・ド・ノワールとこのワインが新たな驚きでした。

 

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「トトリコ豚のハムと東御産アスパラ、クレソンのピュレ」

 

鳥取トトリコ豚は地元で取れた椎の実を食べさせて肥育させた黒豚です。
4日間ソミュール液でマリネ後に真空して優しく火を入れてます。

火入れ後の僅かに出た肉汁も牛乳と合わせて泡立てて添えました。

合わせたのは東御産に極太のアスパラに川で摘んだクレソンです。

 

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おそらくこの量のピュレを作れるほど都市部ではクレソンを使えないでしょう。

川で幾らでも採れるから、こうした調理が出来ます。

柔らかなところは飾りで添えました。

 

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Nana-Tsu-Mori Blanc de Noir'14」(Domaine Takahiko)

 

ピノ・ノワールで仕込んだブラン・ド・ノワール

貴重過ぎるワインで実は飲んだ事がありませんでした。

知人から白とロゼの間、と言われたのでそのようにイメージしましたが、全く違いましたね。

マリアージュ的にはむしろホワイトアスパラの方が合っていたかもしれません。

貴重な日本ワインはなかなか試飲で開けられませんから、難しいところです。

 

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鳥取猪とカブ、吉田牧場のリコッタチーズ」

 

鳥取猪は40キロサイズの雌で、ワインとの相性を思い山葡萄のジャムを使いソースに仕立てました。

アクセント、彩りに吉田牧場リコッタチーズに矢車草で色を加えてかけました。

 

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「杜(mori)'15」(奥出雲ワイン)

 

生産本数は899本。
山葡萄系品種小公子の樽を使わずに醸造したものです。

山葡萄独特の香りと酸味を活かしたワインです。

 

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「Private Reserve Merlot'11」(KIDOワイナリー)

 

問い合わせが多く、10名を12名で行いましたのでこちらは僕から追加融資です。

猪とのマリアージュ的には杜の方が合っていますが、適度に熟成した塩尻メルローは流石の味わいでした。
 

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「山羊乳のブランマンジェ、野草ジュレと鳥取産のイチゴ」

 

佐久には日本有数の畜産試験場があります。

そちらの山羊から取れる山羊乳でブランマンジェを作りました。

山羊乳は臭いイメージですが、餌の管理や搾乳の仕方、その後の取り扱いで劇的に品質は上がっています。

更に生クリームと合わせているので、濃厚な牛乳を使ったような感覚ですね。

合わせたのはカキドオシという野草とカモミールで作った野草ティーのジュレです。

 

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「Marquise'15」(Sun Sun Winery)

 

シャルドネ貴腐ワインです。

味わいは言い方は良く無いかもしれませんがパイナップルシロップでしょうか。

貴腐ワインは通常は値段が高いものですが、こちらはかなりリーズナブルなので使い易いです。

 

今回も好評だったので、また秋頃に企画したいと思います。

お越し頂きました皆様、ありがとうございました‼︎