フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

開店祝いで39BAR。

生ハムを仕込んだ後は、そのまま佐久の職人の集まり「39BAR(サクバル)」に参加しました。

 

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この日は先日春日にチーズ工房「Bosqueso(ボスケソ)」をオープンされた是本さんの開店祝いで開催されました。

 

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是本さんはHONDAで長年F1の車体空力開発をされた後にチーズ職人になった異色の経歴の職人さんです。

 

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この夜はほぼフルラインナップです。

試作中の地元シードルを使用した物や、隣町のワイナリーのオリ引きした葡萄を使用した物まで多数です。

F1に関わる程ですから、拘りも凄まじい、、。

 

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昼間に生ハム作りをした「Maison du Jambon de Himeki」藤原さんもお誘いして参加して頂きました。

 

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こちらは地元の土屋酒造さんから特別なお酒を瓶詰めして頂きました。

 

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裏もこの通り。

 

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他にも黒澤酒造さん、伴野酒造さんのお酒に県産ワインなどがズラリです。

(ワインは写真を撮るのを忘れました、、。)

 

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料理は持ち寄りなので、地元の料理人の皆さんが手間暇かけたお料理が並びました。

自分は左肩を骨折していたので料理は作りませんでしたが、県産ワインを持ち込みました。

 

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デザイナー、大工の方々が作られた新しい39BARの看板もお披露目です。

 

様々なジャンルの職人(農家、チーズ職人、料理人、川魚養殖、大工、デザイナー、写真家、酒蔵社長、杜氏、日本利酒チャンピオンなどなど、、。)総勢20人以上が食事や日本酒やワインを持ち寄ってこの日も本当に盛り上がりました。

本当にまた何かが生まれそうな予感がしますね。

 

これだけの素晴らしい職人がいて、東京からの距離、軽井沢の存在、長野の持つブランドイメージ(野菜や果物が美味しい、自然が豊かなど)、酒、ワイン、野菜、ジビエなど食材が豊富、海が無い(海があるとイメージ的にお寿司や和食の方が強いので)
地方ガストロノミーをやるのに、これだけの条件が揃う場所は他に無いと思います。

 

チーズや生ハムなどの食のピースも埋まりましたから、そこに自分がどのように関わりながら発信していくか、さらに色々考えていきたいと思います。

 

佐久に生まれて良かったです。。
地元最高!この日も楽しかったです‼︎

 

姫木平で生ハム作り。

佐久の職人の集まり「39BAR(サクバル)」メンバーで姫木平「Maison du Jambon de Himeki(メゾン・デュ・ジャンボン・ド・ヒメキ)」に生ハムを作りに行ってきました。

 

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標高1500mの長野の自然環境で作る生ハム工房です。

共通の友人シェフがいたので山梨時代から知っていたのですが、今回が初めての訪問になりました。

 

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建物の中に入ると熟成中の生ハムがたくさんかけられていました。

 

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先ずはオーナーの藤原さんに生ハムの講義を受けました。

 

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実際に生ハムを試食しながら、加工の工程、菌の役割、塩について説明をして頂きました。

 豚肉の深い知識と毎年新しい作り方に挑戦する姿に職人の拘りを感じます。

 

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講義を受けた後は窓の開かれた仕込み部屋で生ハム作り開始です。

この日は新潟と山梨からシェフが来られていたので、合同で仕込みました。

 

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先ずは血管の位置を確認しながら、血液を押し出していきます。

力仕事なので骨折で片腕が使えない自分は見学のみでした、、。

 

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しっかり塩をまぶして仕込み完了です。

 

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肉の重さに合わせて塩漬け期間を設けてその後に洗い流して低温熟成に入ります。

塩を洗い流した後の低温熟成期間から逆算すると本来は11、12月仕込みが良いという事なので、自分の例年のスケジュールを考えるとフランス帰りと白馬の仕事前の11月下旬に仕込みですね。
自分用と白馬のホテル用に仕込みましょうか、、。

 

ちなみにこちらの生ハム作りは一般の方でも参加可能です。

誰でも出来る作業ですし、熟成は藤原さんが行ってくださるので早い物なら1年後には楽しめます。

 

http://www.jambondehimeki.com/

 

今シーズンの仕込み期間は終了しました。

また今年の11月からスタートだと思います。

 

また長野で素晴らしい食の繋がりが出来ました‼︎

 

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NOMA東京の映画を観て。

長野ロキシーで上映中の「ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た」を観てきました。

 

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NOMA(ノーマ)は言わずと知れた世界一に4回も輝いたデンマークコペンハーゲンのレストランです。

この映画はそのNOMAのカリスマシェフ、レネ・レゼピが総勢77名のスタッフを引き連れて世界初の試みとして期間限定で行われた「ノーマ・アット・マンダリン・オリエンタル・東京」のドキュメンタリーです。

コース料金が4万円以上、ワインが2万円以上とかなり高額にもかかわらず予約は1日で埋まり、6万2000人がウェイティングリストに名を連ねた事でも話題になりました。

東京の上映中に行こうと思っていたのですが、白馬の繁忙期と重なったのと極端に短い上映期間で断念。
よく探すと全国で1番最後の上映が長野なんですね。ランチ営業の無い平日の時間を利用して行ってきました。

 

やはり安易に海魚に手を出さない、というようなセリフ(周りに優れたお店が多過ぎる)は印象的で、それは長野で料理人をしている自分にも通じるところです。

海のイメージが強い県なら、先ず最初に食事はお寿司か和食ですよね。

魚を扱わせたら世界一です。

長野は海無し県ですから、最初から海魚を期待して来られる方もいませんし、北陸新幹線を考えたらその先の富山や金沢が優位に決まっています。

自分はそこに長野という地方でフレンチをやる優位性を感じています。

 

自然に対するアプローチも印象的で、自分が森に入って行く中でのアンテナの立て方の違いは感じました。

パリ時代に初めてPassage53の厨房に入った時もその食材に対する扱いが全然違う事に驚きでしたから、やはりちょっとした事に対する気の持ち方は大切なんだと思います。


フェアの緊張感、緊迫感も伝わってきて、料理人としてはゾクゾクする内容でした。

これもPassage53の話になりますが、2年前のニューオータニのイベントも大変ではありましたがゾクゾクしましたし、あの感覚を思い出しました。

 

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そして最後に今回のメニューの簡単な解説があります。

パンフレットにはこれだけしか書かれていませんが、長野の食材の何と多いことか、、。(おそらくウワミズザクラの間違いですね。)

北欧には行った事がありませんが、おそらく寒い場所で食材にも決して恵まれた土地では無いので発酵や保存の技術が発達したのだと思います。

それは長野県にも通ずるものがありますね。

僕は「長野にいたらどうするか?」を考えながらフランスの滞在先も決めていました。

だからパリ以外は比較的北のベルギー国境付近やノルマンディー辺りに居た気がします。

(後半はワイン好きが高じて休みはブルゴーニュに居ました。)

色々食べ歩きもしましたが、1番好きなレストランはライヨールの「Bras」です。

しかし、僕がフランスの修業先を決める時に今みたいにノルディックキュイジーヌが流行っていたら、ワーキングホリデービザが出来ていたら、長野で応用するにはこれだ!と思ってデンマークに行っていたかもしれませんね。

 

ちなみに映画のサブタイトルにもある「ANTS ON A SHRIMP」の蟻は長野の物です。

 

長野上映も長くないので、料理人の方々は是非!

 

先週末の八方。

先週末の白馬です。

 

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場所は八方のリフトの1番上だそうです。

 

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先週末は天気にも恵まれて、素晴らしい景色です。

滑りに行ったキッチンスタッフが撮った写真を見せてもらいましたが、北アルプスを眺めながらのスキー、ボードは最高に楽しいんでしょうね、、。

 

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先日、ちょっとした事で肩甲骨にヒビが入ったので、これ以上悪化させない為にも仕事以外は安静です、、。(今シーズンの滑りは1度も行けずに終了。。)

幸い、重い物を持つ以外は仕事に支障無し。

夏から軽井沢にフランスに白馬にと少し働き過ぎだったので、少し休めという事ですね。

 

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しかし、この景色を体験したかったですね、、。

この景色を切り取って、料理で表現したかったです。

それも来シーズンの楽しみですね。

 

来シーズンは繁忙期過ぎにこの景色で滑れるように、スタッフの体制や体調管理、もう少し体を鍛えて白馬に来たいと思います!

 

富山のガラス美術館を見学。

「鮨人」さんで食事の後は、以前から行きたかった「富山市ガラス美術館」に行ってきました。

 

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昔から美術館巡りが好きなんです。

東京やパリに居た頃は、休みにはよく美術館に行っていた気がします。

 

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北陸新幹線開通を契機に建て替えられたと思いますが、モダンでお洒落な館内ですね。

 

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図書館も併設されていて、気持ち良く読書や調べ物に没頭出来るような気がします。


ガラス展示は著名な製作者の作品の他に、この日は富山ガラス造形研究所の生徒さんの卒業作品も展示されていました。
中に一つだけ思わず唸ってしまう作品があったので、製作者の方とお話させて頂きました。
JICAを通してホンジュラスに行かれていたそうで、話してみてやはりこの方だけ他の製作者とは異なった視点をお持ちだと思わず納得。
(自分のレストラン視点で作品がピッタリ来たという事もありますが、、。)

 

ホテルの夜営業までに帰らないといけなかったので駆け足ではありましたが、充実した富山滞在でした。

(館内は一部の作品の撮影は許可されていましたが、SNS掲載不可だったので作品は載せません。)

 

今年も鮨人で食事。

白馬に居るとどうしても賄いはスタッフ(オーストラリア人などの欧米系)の好みで肉食になりがちです。

どうしても魚不足になりがちという事で、昨年も伺った富山「鮨人」さんに行ってきました。

 

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長野から遠いイメージでしたが、白馬からなら車を飛ばして2時間強で着きます。

 

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先ずは天然水と梅干しのシンプルな茶碗蒸しからスタートです。

 

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やはりこの時期の富山なら蟹にノドグロ

蟹は終わりの季節でしたが、ギリギリ間に合いました。

 

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こちらは富山の郷土食のかぶす汁です。

 

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 近海の海の幸から伝統の「かぶす汁」、巻きにデザートまで、とても美味しく頂きました。

 

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食事中は木村さんのど正面で、周りの方々に申し訳無いくらい話し込んでしまいました、、。

2回転目の準備があったので、店内奥の常連席に移動。

久しぶりに白馬を離れて楽しくて、ついつい長居をしてしまいました。

 

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帰りに木村さん推薦の「石谷もちや」特製みたらし団子とイチゴ大福を購入。

 

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早速、その夜の営業後にスタッフと頂きましたがこれは美味い。

「鮨人」、「石谷もちや」は毎年の白馬からの鉄板コースになりそうです。
来シーズンも必ず伺いたいと思います!

 

Restaurant さんざで食事。

久しぶりに地元の納屋レストラン「さんざ」さんに行ってきました。

 

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ブルゴーニュの1ツ星オーナーと東京麻布のレストランオーナーの友人ですから、やはり地産地消のレストランを選びました。

以前は頻繁に伺っていましたが、職人館横の店舗から現在の場所に移られてからは初めての訪問でした。

 

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夜は1組限定。

基本的には地元の食材を使った地産地消の料理が魅力です。

 

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この暖炉に突っ込んだ大きな牡蠣も登場しました。この時期の信州は冬季休業もするレストランがある位に食材が乏しいですからね、、。

 

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焼き上がった牡蠣は厨房に運ばれて素敵なお皿に。

 

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うっかり牡蠣が食べれない事(過去に何回も牡蠣に当たったので、日本では食べ無い事にしています、、。)を伝えていなかったのですが、この牡蠣は素晴らしく美味しかったです。

自分の牡蠣食も解禁しようか。。

 

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熊はフリットされたセリと一緒に。

この時期のセリは根の先から白く綺麗で、丸ごと揚げて食べられます。

 

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上原シェフがスイスの日本大使館時代に取得されたお寿司の技術で、地元のブランド米「五郎兵衛米」を食べて頂くためにコースの途中で出される定番のお寿司です。

季節によって食材が変わりますが、今回は地物の鮒などですね。

 

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こちらも定番だと思いますが、鯉のクネルとザリガニのアメリケーヌ

ザリガニは鯉の養殖場で一緒に採れるそうです。

 

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メインは鹿料理でした。

 

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ワインは持ち込み可能という事で、ウチの蔵を物色して持ち込んだワインから好きに選んでもらいました。

 

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結果的には白、赤と日本とブルゴーニュの飲み比べになりました。

 

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自分も信州食材やワインに拘った料理を作るように心掛けていますが、こちらのご主人の方が先を行っていますね。

毎回、学ぶ事が多いです。

ご夫婦お二人で小さく商売をされているので、本当に目立たないんですけど、、。(自分なんかは料理人か?というくらいにSNSをフル活用していますが、、。)

奥様も素晴らしいホスピタリティなので、飲んですぐに眠れるオーベルジュなら尚嬉しいんですけどね、、。

(今回は近くの春日温泉が満室で部屋を取れませんでした、、。)

 

 冬のシーズンの間は体調管理で断酒、夜更かし無しで働いてきましたが、スタッフ皆のおかげで久しぶりの1日オフが取れたので、美味しい食事とワインを楽しめました。

 

リフレッシュも出来たので、残りのシーズンも頑張れそうです。