フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

ニラの花とミョウガ。

畑のニラの花が咲きました。

 

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本来なら葉が固くなるので落としてしまいますが、料理に使いたいのであえて残しています。

小さな白い花は綺麗で味わいもしっかりニラなので、この時期は料理の飾りや香り、アクセントに重宝します。特に肉の加工品にはピッタリです。

畑に行って咲いている花やハーブを摘みますが、この時期が1番豊富で摘むのも楽しいですね。

軽井沢の繁忙期に合わせてピークになるので、本当に嬉しい限りです。

 

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この時期のもう一つのお気に入りはミョウガです。

 

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市販の物より柔らかくて香りもイイので、好んで使います。

ピクルスなんかもイイですね。

採り切れないミョウガはしばらくすると花が咲きます。

こちらは脆くてあまり日保ちはしませんが、白い花はお皿を綺麗に飾ってくれます。

 

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こちらはボリジ

雨避けのビニールハウスも建てたので、今年は雨にも負けずに元気です。

 

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ナスタチウムも黄色、赤、白を中心に色々な色を育てています。

案外、花びらの根元の実が大きくなったところが辛口で色々話せますからね。 

 

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他にもたくさん採れますが、本日はここまで。

 

「適地適作」

 

上手く自分の畑に適応した物は、こうして採り放題です。

こうして育てた花や自然の草木が軽井沢の繁忙期に当たるのは本当に嬉しい限りですね。

全くこの土地では買う必要がありません。

よく自分の料理は「料理がこの土地の季節を表している。」と食事された方に言われますが、ハウス物に頼らない生産者の食材や自分の畑で採った食材や花を使用しているので当然と言えば当然ですけどね。

 

朝早くから収穫して料理の仕込み、営業はシンドイですが、体調管理に気を付けて夏の繁忙期を乗り切りたいと思います!

 

夏の天然キノコ採り。

山の先生に連れられて夏の天然キノコ採りに行ってきました。

 

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朝4時半起きで現場まで行き先生と合流。

先生の後を追いながら初物のセップ茸にハナビラ茸、チチ茸、キンチャヤマイグチ茸などを採りました。

 

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日本のセップ茸(ヤマドリダケモドキ)です。

最初の写真も同様です。

日本で実際に山で採るのは初めてで興奮。

 

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こちらはハナビラ茸。

美味しいそうですが、うっかり帰りに先生から頂くのを忘れてしまいました、、。

 

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こちらはチチ茸。

 

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人の手や人工物が触ると白い汁がたくさん出てきます。

舐めると甘いです。

持参のカゴにも山のシダなどを敷いて、緩衝材用とカゴ(人工物)に直接触れないようにします。

こうした採った後の注意点も知らなかったので勉強になりました。

 

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こちらも今回の目的のキノコであるキンチャヤマイグチ。

 

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天然のキノコがどれも美味しいという事は無いのですが、こちらのキノコはとても美味しいです。

 

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途中、大雨に見舞われましたが、この時期としては大満足の結果ですね。

 

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帰りに野草や野生の実なども教わりました。

こちらは野生のアスパラ(シオデ)の脇芽とゴマナ。

 ゴマナは香りが良くて天ぷらなどに良いそうですが、他の使い道も考えたいですね、、。 

 

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こちらの実はキブシ。

 

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こちらはウワミズザクラ。

 

塩漬けにしたりお酒の漬けてみたり。

ケッパーの代わりに使用できたり、ほんのり杏の味わいを生かした果実酒になったりと色々です。

先生のお話を1日中聞いていましたが、本当に知らない事だらけです、、。

 

先生の行動範囲だけでもビックリする位の天然キノコや野草の種類があるそうです。
そして、こうした食材を使いこなせれば魅力ある地元料理になると思います。

地元に素晴らしい料理があれば他方からお客様が呼べます。

地元にお金が落ちれば、それが地域活性化のきっかけになると思います。
先生曰く、現状では地元に需要が無く、都市圏に送る事が多いそうなので、地元で調理して他所からお客を呼べる流れにしないといけませんね。

それにはまだまだ自分自信が時も地元食材に無知で勉強不足だという事をこの日で痛感、、。
時間があれば先生に教わりながら、地元食材を使いこなせるように山に行こうかと思います‼︎

 

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(ちなみにセップ茸に見えるこの写真は毒キノコだそうです。しっかり勉強しないといけませんね。)

 

今年も果実酒仕込み。

ウチのブルーベリーが最盛期なので、少しだけ果実酒を仕込みました。

 

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実家が果樹園もしているので、毎年出荷出来ない不良品(食べても問題無いのですが、、。)で果実酒を仕込んでいます。

ブルーベリーは採れ過ぎるので、朝食用のコンフィチュール分と出荷分以外を少しだけ果実酒にしました。

 

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果実酒は梅、ブルーベリーから始まり、太陽、プレジデント、貴陽、カリン、ラ・フランス、プルーンなどを仕込んでいます。

珍しいところだとヤマボウシやナツメなど。

 

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作った物は年と月を書いて土蔵の奥に封印します。こちらはその一部です。

 

いつお店を始められるとも分かりませんから、こうした物はフランスから帰国した4年前からコツコツ仕込んでいます。
試しに3年前に仕込んだブルーベリー酒を試飲しましたが、良く漬かっていました。

昨年のイベントには炭酸水で割ってお客様にお出ししましたが、凄く好評でした。

 

長野県のブランドイメージ(フルーツや野菜が美味しい)もありますし、使いたい時に作り始めては遅いですから、こうした物は毎年しっかり仕込んでおこうと思います。

 

軽井沢でルフレーヴワイン会。

先日は恒例の軽井沢DVDワイン会の出張料理をしてきました。
今回のテーマは「Domaine Leflaiveの水平、垂直」でした。

 

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Chevalier-Montrachet
2005、2006、2007、2008、2009、2010

 

Bâtard-Montrachet
2007、2009

 

料理は5品を作りました。

 

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東御産ブロッコリーのピュレ、レモンジュレ。信州サーモンとコリンキーのピュレ。

 

この時期は東御のブロッコリーの最盛期なので必ず作る料理です。

自分がパリ時代に働いていた「Passage53」のスペシャリテ。僕がここで働くきっかけになった料理でもあります。

少しさっぱりした料理にしたかったのでそこにレモンジュレをかけて春菊の花を添えました。

 

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食材の購入に行った農家さんの畑にたくさんあったので頂いたのですが、花も正しく春菊の味わい。花びらも綺麗なので、これはこの時期に重宝しそうです。

 

木のスプーンに添えたのは佐久穂町八千穂漁業」さんの信州サーモン。

長野県は海が無いので、このワイン会ではいつも八千穂漁業の川魚を使用しています。

流れの速い川の隣にあるので、常に綺麗な水が循環しています。そうした場所で育てられた魚はクセも無くて美味しいです。

 

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信州大岩魚のマリネ、ミニトマト南高梅のジュレ、ウォッシュチーズのソース

 

トマトは美味しかったので少し塩をしてそのまま。

南高梅の最盛期なのでコンポートにしてピュレを作り、酸味を調整してアガルアガルで固めました。

 

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ゼラチンの方が口溶けが良いのですが、1人で10人分を調理していくのである程度は事前に盛り付けておかないと間に合いません。

夏の気温もありますから常温でも溶けないアガルアガルを使いました。意外と食感も邪魔にならないで結果的には良かったみたいです。

トマトモッツァレラの変形をイメージしたので、地元のチーズ工房「Bosqueso(ボスケソ)」でウォッシュチーズを購入して牛乳で炊いてミキサーで回してソースにしました。

今回は初参加の方々も多かったので、定番の大岩魚のマリネも添えました。

 

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花は自分の畑の物を使用します。

軽井沢の繁忙期に合わせて皆咲きますから、事前に畑仕事をしておけば後は使いたい放題です。

毎朝、使いたい分だけ採れるので、飾りには不自由しませんね。

 

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山女魚と山フキの五郎兵衛米リゾット

 

こちらもこの時期の定番です。

キュウリの季節ですから軽く炒めて山フキのご飯と山女魚の出汁で炊きます。

米は佐久のブランド米「五郎兵衛米」です。

後で山女魚の身を投入して軽くナッツオイル。

厳密に言うとリゾットではありませんが、チーズも邪魔になりますし雑炊的なイメージです。

漬物代わりに赤タマネギのピクルスを添えました。

 

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平目のバプール、地元野菜(キャベツ、スナップ、ズッキーニ、ラディッシュ、ミニ人参)、平目出汁とスモークバターのソース

 

今回は全て白ワインという事で、普段はあまり使わない海魚を使いました。ちょうど人数分入荷出来たので平目です。

 

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野菜は地元の「いそベジ農場」磯辺さんと「GoldenGreen」在賀さんの野菜を使わせて頂きました。

 

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地元の若手生産者の作る野菜は最高ですから、的確な調理さえしてあげれば美味しい料理になります。

 

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中野産SPFポーク、東御産白土馬鈴薯のピュレ、佐久産ヤングコーンとノワゼット風味のポップコーン

 

豚肉はいつもの中野の無菌豚。

このワイン会はマリアージュを楽しむ会では無いので、料理は一歩引いた味わいを心掛けています。

そうした場合に癖の無い無菌豚は使い勝手が良いです。癖のよう味わいを活かすためにも胡椒は使いません。

付け合わせは今が最盛期の東御の白土馬鈴薯

新ジャガは美味しいです。

更に佐久市ですからヤングコーンも手に入ったので、食感の足しにポップコーンも付けてまとめました。

 

前半は信州の料理を楽しみながら、後ろでワインに合わせるイメージで。

暑い中、軽井沢まで移動されてからリッチなルフレーヴのGCですから、料理はなるべく軽めに作りました。(もっと軽くても良かったと思います。)

回を重ねるごとに料理のパーツが増えてきたので、1人で10名分ならもう少しシンプルでも良いかな、、と。

パリで好きな「Arpège(アルページュ)」の料理を眺めながら思いました。このワイン会の料理担当も3年目で20回を越えましたが、毎回試行錯誤ですね、、。

素晴らしいワインも頂けましたし、今回も良い勉強になりました。

また次回も色んな食材を試しながら頑張りたいと思います。

 

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食材探しに山の田んぼへ。

長野県養殖漁協の方の案内で新しい食材を探しに行ってきました。

 

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山奥の道を進んで田んぼの周りを探して回ります。

 

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岩陰に隠れているザリガニを発見。

 

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まだ小さいですね。

手で捕まえようとしても、動きが早くて捕まえられません、、。

これが大量繁殖して大きくなると畦(あぜ)に穴を開けて大迷惑だそうです。

農家さんも何とか有効活用出来ないか、と仰っるのですが、田んぼのザリガニは食べれるんですかね⁇

 

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近くの清流で探す予定が、こちらの田んぼにもいた沢蟹です。

昔はウチの前の小川にも居たのですが、よく分からない護岸工事の結果だと思いますがすっかり見なくなってしまいました。

 

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こんなにタニシやザリガニが元気にいる田んぼを見たのは初めてです。

健全な農業がされているんでしょうね。

 

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場所を変えて川に移動して沢蟹採り。

すぐに逃げてしまうので、写真はすこしはみ出したこの写真のみ、、。

 

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探している最中にキャンディーミントの群生地を見つけたので大量に採取。自分の畑に移植します。

 

今回は目的を達成出来なかったのですが、常に食材を探して引き出しを増やしておく事はいざという時に役に立ちます。

次回は夏の繁忙期の後になるかと思いますが、日を改めてまた伺いたいと思います。

 

高山村の角藤農園を見学。

「ざんざ亭」コラボディナーの後は店主の長谷部さんと伊那の飲料、農家さん達と一緒に高山村の「角藤農園」に行ってきました。

 

「角藤農園」は小布施ワイナリーにも良質の葡萄を卸しています。

 

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伊那の飲料、農家さんがワイン葡萄栽培を始めるという事で「角藤農園」の葡萄栽培家、佐藤さんとお話をして葡萄畑見学をしてきました。

 

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最近は苗木も不足気味ですから、こうした状況でどのように葡萄栽培を始めるか。

 

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ワイン葡萄は代木に接木をしないとフィロキセラにやられてしまうのですが、こちらは自根です。

フィロキセラで10年で駄目になるのを想定して、間に接木した木を植えるなど色々考えて畑の設計をしていかないといけないみたいです。

 

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こちらは開墾した畑だそうですが、粘土質の良さそうな土壌です。

このような土地にはピノ・ノワールが面白いと仰っていました。

 

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ワイン特区でもある高山村にはワインを作りたい人達がたくさん集まってきています。

そういった方達の為に村でワイン醸造所を建設予定だとか。

 

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お昼は佐藤さんオススメの高山の「子安そば 文の蔵」さんで蕎麦ランチ。

 

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ご飯も食べたかったので天丼のセットで頂きました。お蕎麦も量もしっかりあって美味しいです。

若い店主でしたがお店も明るく雰囲気が良くて、平日昼でしたが満席でした。

 

今月は必要に応じてワイナリーツアーをやっていますが、これの良いところは一緒に回りながら現場や消費者の声が聞ける事でしょうか。

ネットで手に入らない情報が入りますし、ワインと合わせる料理の参考になる会話もあります。

 

高山村もこれからワインで盛り上がりそうですから、自分としましても常に勉強しながら信州ワインを扱える料理人になりたいと思います。

 

食用花が満開。

今年は暖かい(暑い)ので軽井沢の繁忙期用の食用花が既に満開です。

 

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右からコモンマロウナスタチウム、ミント、ボリジ、ディル、フェンネル、レモンタイムの花、フェンネルの花。

自分の仕事はまだこんな量は必要無いので、軽井沢のレストランにお裾分けしています。

 

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ボリジは既に昨年のこぼれ種でこの通りです。

間引きをしないと風通りも悪くなるので、これでもかなり減らした感じです。

適地適作、軽井沢ではこうはいかないらしいので、上手くこの土地に適応しましたね。

 

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コモンマロウも昨年の株から生えてきたので放置しましたが、ちょっと昨年と比べて元気が無いです。

来年はまた苗からやり直しになりそうです。

 

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ナスタチウムも元気です。

今年は赤、黄色に限らず、色々な色に挑戦したので、これからの収穫が楽しみです。

 

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こちらはヴィオラ

知人の畑から頂いてきたのですが、耐寒性もあるので上手く土地に根付けば毎年こぼれ種で生えるそうです。

 

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ディルの花も咲きました。

イタリアンパセリも同じような花が咲くのですが、硬くて香りが強過ぎるのであまり料理の飾りには使用しません。

その点ではディルやフェンネルの花は香りも穏やかで使い易いです。

 

今年のハーブ類は苗作りの段階で調理の仕事が忙しかったのに加え、凄く暖かかったので早くに取り掛からなければならないところを例年通り(少し遅れて)始めた関係で所々に失敗してしまいました、、。

寒過ぎても暑過ぎてもうまく育たないですから、農業は難しいですね、、。

しかし毎年黙っていても生える物もありますし総じて順調ではあります。

周りには素晴らしい同世代の新規就農者がたくさん居ます。

一般的な食材は彼らに任せて、自分は一般には売り難い食用花やハーブなどを中心に育てていますが、繁忙期には朝摘みで今年も色々出来そうです。

 

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果樹も最初の収穫、ブルーベリーが始まりました。今年もたくさん採れそうです。

 

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出張料理やイベントの仕事が一時的に落ち着いたので、今週は畑仕事に打ち込みたいと思います。