フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

豊橋でウズラ飼育を見学。

岡山帰りの愛知遠征。最後はウズラ飼育の豊橋市「東海有機」を訪問しました。

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豊橋市は日本で唯一ウズラの農協があるくらい有名な町です。

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東海有機さんのウズラは「鳩?」と間違えるくらい立派なサイズで、昨年の出張料理にも使わせて頂きました。(とても好評でした!)
こちらはその時に届いた特大のウズラです。

今回は内田社長にお願いして、その施設を見学させて頂きました。(施設内は掲載NG)

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施設見学後は羽剥き方法の違うウズラ肉の比較試食。
やはり職人の手剥きの肉は違いますね、、。

実際に飼育されている方やその現場を見ると、食材を扱う気持ちもやはり変わると思います。
基本的には県産しか使わない自分ですが、縁のある素晴らしいお肉は使いたいですね。
鶏インフルエンザでフランスからの鶏肉もストップしていますから、これからもっと需要が伸びそうです。

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長野から東京、岡山、愛知とかなりの移動になりましたが、充実の遠征になりました‼︎

ラ・ヴィ・デュ・パンでパン。

岡山帰りの愛知遠征。豊橋市の次はこちらもパリ時代の後輩、加藤大貴君が岡崎市に今月オープンしたブーランジェリー「La Vie du Pain(ラ・ヴィ・デュ・パン)」に行ってきました。

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メゾンカイザー、ロブションなどで修業した大貴君が地元でオープン。この日も天気が悪いにもかかわらず、朝からこだわりのパンを求めてたくさんのお客さんが来ていました。
パリ時代から自宅でも何処でもパンを研究していましたから、美味しいですよね、、。

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この界隈はトヨタ自動車のおかげでかなりお金に余裕のある客層らしいのですが、財布の紐は少し固いと聞きました。
比較的、日常的に使って頂ける拘りのパン屋さんは凄く馴染みそうです。

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立派な建物で勝負を賭けましたよね、、。
まだオープンしたばかりですが、少し安定したらカフェも稼働させるとか。本当に楽しみなお店です。
パリ時代の約束も守らないといけないので、僕ももう少し頑張らないといけませんねw

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アトワタンで食事。

岡山の帰りに愛知県豊橋市に寄ってパリ時代の後輩、山田康平君が地元に開いたフレンチ「A Trois Temps(アトワタン)」に行ってきました。

自分が辞めた後に康平君が入る方が続いたので、一緒に働いた事は無いのですが、休みは一緒に飲んだりしましたし、昨年は佐久まで遊びに来てくれました。

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先ずは泡とアミューズ
岡山から車移動だったので、沁みました、、。

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豆類と貝類のサラダ仕立て。
見てると厨房は1人みたいですが、綺麗に守られていますね。

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何だか凄い鯛という説明でしたが、なるほど確かに美味い。

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メインは豚肉。
綺麗な火入れで美味しいです。

地元食材を大事にしたお任せコースはどれも美味しかったです。
あまりそういうイメージは無かったのですが、豊橋市は食材豊富ですね、、。

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仕事を終えた康平君と持ち込み可能な近くのワインBARで飲みました。
自分は長野から持参したコシュデュリ。

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素敵なお店でこだわりの食材を使った料理も美味しかったのであとは知名度でしょうか⁇
個人的には彼の地元愛知県のワインを置いて欲しいですね。

また次回来るのが楽しみです‼︎

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吉田牧場を訪問。

東京でのコラボディナーを終えて阿部シェフと岡山「吉田牧場」を訪問しました。

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知り合いのチーズ職人曰く「日本の三大巨匠」のお一人。(あとは北海道の協働学舎と長野の清水牧場)
阿部シェフが昔からお付き合いがある事から今回訪問する事が出来ました。

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着いて先ずは牧場を見学してきました。

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こちらに居る牛はブラウンスミスという品種だそうです。

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乳牛というとホルスタインをイメージしますが、ホルスタインは北海道のような平らな土地でないと難しいみたいです。
岡山はこうした勾配のある土地なので、坂を登って草を食べられるブラウンスミスが適しているんでしょうね。

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岡山の自然豊かな牧場を散歩して、夜は阿部シェフと調理を担当しました。

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吉田さんが摘んでくれたコシアブラを揚げたり、この為に持ち込んだ長野、鳥取の食材に吉田さんの作りたてのバターやフロマージュを使わせて頂きました。

吉田さんに出して頂いた国産ワインもとても美味しかったです。(楽しく飲んで食べて、直ぐに部屋で寝れるのも最高です、、。)

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吉田さんの自家製フロマージュやバターをふんだんに使った素晴らしく美味しい朝食。
こんな贅沢な朝食も久しぶりで、何だかフランスを思い出しましたね。

吉田さん、本当にありがとうございました!

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自然豊かで食べ物も最高に美味しい。
地方にあって何が本当の贅沢なのかを再認識した岡山訪問でした‼︎

Bio-sで食事。

尾山台のコラボディナーを終えて、阿部シェフと岡山遠征。先ずは通り道にあるので、以前から行きたかった静岡県富士宮の地方レストラン「Bio-sビオス)」に行ってきました。

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農園レストランとして有名だったこちらのお店は以前から伺いたいと思っていました。

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店の前に広がる畑や山羊を眺めながらの食事はやはり地方ならではですね。

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メニューはこのような感じです。
個人的には山菜のお皿が好きでした。

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今回は車の運転だったので頼んだティーペアリングが素晴らしかったです。
上はアスパラに合わせたルッコラのジュースをリンゴジュースで割った物。

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庭で摘んだローズマリーのシロップにガスを注入した緑茶と合わせたアペリティフから始まり、豚肉には濃いめに抽出した紅茶にノンアルのシャルドネ、ラベンダーなど、ただのお茶では無く1つ1つのお茶に細かい仕事が施されているのが良いですね。
東京にもティーペアリングのお店はありますがお茶単体ですし、パリにも中国茶ペアリングのフレンチがありますがこうしたティーペアリングは初めてでした。

静岡はお茶処という県のブランドイメージもありますし、目の前の畑で大量に採れる食材を使ったりとなかなか他では真似出来ないと思います。これは是非、長野のお店で参考にしたいですね。
オーナーの松木さんともお話しさせて頂いて、地方レストランをやるたくさんのヒントを頂けたかと思います。

岡山遠征の中継で寄ったのですが、大変中身の濃い静岡滞在になりました!

第6回ア・ベーでコラボディナー。

先週末、パリ時代の友人、阿部シェフと尾山台でコラボディナーを行いました。
自分達の出身地(長野、鳥取)の食材、ワインを用いた企画も今回で6回目となりました。

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アミューズは「おやき」
長野県の伝統食「おやき」を小さめにしてお出ししました。信州の饅頭でしょうか。
おやきは本来、野沢菜や地元食材を詰めるのですが、今回はコラボという事で阿部シェフの地元の港、境港から届いた紅ずわい蟹、もんば(海藻の一種)、長野からは下仁田ネギを合わせました。
ワインは「奥出雲スパークリング・セイベル9110」(奥出雲ワイナリー)

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二皿目に長野からは八千穂漁業、大岩魚のマリネとウド、前週の出張料理では白樺樹液のジュレでまとめましたが、今回はデザートで使用したのでこちらは柑橘ジュレです。
ワインは「奥出雲ブラン'NV」(奥出雲ワイナリー)

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長野はまだ早いですが鳥取では採れると言う事で、こちらは鳥取の緑、白アスパラです。
バターでゆったり火を入れて、鳥取サクラマス。こちらは生ハムを意識して、しっかり水分を取っています。
最後にルッコラのリコッタパウダー。
ワインは「アルバリーニョ'2015」(小布施ワイナリー)

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こちらは境港からのフグ。
春キャベツをタリアテッレ状に切り出して底に敷き、山菜、フグ、皮のフリット、を添えてフグ出汁のスープを流します。
ワインは「ピノグリ'2015」(奥出雲ワイナリー)

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玉ねぎのキッシュ。
こちらは前週同様の作りです。
下は信州のほうれん草のピュレ。
パイ、卵、玉ねぎ、パンチェッタ、、間違いの無い組み合わせですね。
通常の順番的にはフグの前ですが、赤ワインを合わせる為にこのような順番になりました。
ワインは「バルベラ'2014」(小布施ワイナリー)

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鳥取のオレイン55という牛肉をローストしました。
付け合わせは同じく鳥取の筍、木の芽や信州の白嶺茸を混ぜたデュクセル、川で摘んだ天然クレソンを添えました。
ワインは「東山カベルネソーヴィニョン'2011」(ファンキーシャトー)

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この時期の東御市界隈はイチゴで一杯になります。そのイチゴに白バルサミコ、オリーブオイル、底に敷いて地元「Bosqueso(ボスケソ)」のカッテージチーズ、白樺樹液のジュレ、最後にピンクペッパーの香りを移したグラスを添えました。
ワインは「ペティアン・ロゼ'2014」(ドメーヌ・ナカジマ」

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お越し頂きました参加者の皆様、本当にありがとうございました。

年々良くなる国産ワインと地元食材のマリアージュを楽しんで頂けたかと思います。次回はかなり先になると思いますが、また企画したいと思います。

尚、今回のコラボディナーの売り上げの一部を被災された方々の為に寄付させて頂きました。
熊本の地震被害の早期回復を願います。

軽井沢でボンヌマールワイン会。

週末、恒例のDVD軽井沢ワイン会の出張料理をしてきました。
ワイン収集家Y氏の別荘でソムリエO氏の講義を受けながらワインを楽しむ会です。
今年で3シーズン目に入りました。

今回のテーマは「Bonnes Mares」でした。

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George Roumier 1994、1996
Vogue 1995、1996
Robert Groffier 1999
Jacque Frederic Mugnier 2008
Lucien Le Moine 2007
Olivier Bernstein 2011

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2日目はJacque Frederic MugnierとRobert Groffierに代わり

d'Auvenay 2000
Dujac 1985

料理は5品を作りました。

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おやき(菜の花、黒アワビ茸、松本葱、春日「Bosqueso」のモッツァレラ)、ワサビの花

以前から信州の伝統食「おやき」を出せないか考えていました。
今回は知り合いの作ったフロマージュを混ぜたシャンパンに合う味わいで作りました。
下のお皿は八千穂高原から切り出した白樺。
おやきは囲炉裏の灰で蒸し焼きにするやり方もあるので、それをイメージした灰色の蕎麦パウダー。
先日、摘みに行ったワサビの花と葉を飾りに使いました。食べてもピリッとしたアクセントになったと思います。

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佐久穂「八千穂漁業」大岩魚のマリネ、白樺樹液のジュレ、「Bosqueso」のカッテージチーズ、ウドとウルイのコンディモン

いつもお世話になっている八千穂漁業さんから美味しくなってきた大岩魚をマリネにしてお出ししました。
通常、川魚は寄生虫の問題で生では出せないのですが、こちらは養殖という事で生でも食べれます。
こうしたところは養殖の利点ですね。

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先日のブログの記事にも書きました白樺樹液をジュレにしました。
同じ旧八千穂村の食材、雪解けの川の様子を表現してみました。

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玉ねぎのキッシュ、佐久穂「きたやつハム」のパンチェッタ

この辺りからワインに少しずつ合わせます。
自分が働いていたパリの2ツ星「Passage53」の玉ねぎ、チョリソーを地元のきたやつハムさんのパンチェッタで作りました。
合わせたのはキッシュ。
パイ、卵、フロマージュ、玉ねぎ、ベーコン。
間違いの無い組み合わせですね。

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武石産信州地鶏のロティ、ほうれん草のピュレ、かき菜菊芋、川で摘んだクレソン

信州地鶏は骨付きで低温で焼き上げ、最後にしっかり焼き目を付けました。
付け合わせは地元で採れた物を。

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川で摘んだ天然のクレソンも添えました。

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安曇野産熊肉のラグー、ロース肉のロティ、東御産白土馬鈴薯のピュレ

今迄はジビエの購入は伊那からでしたが、先月まで白馬に居た事で安曇野、大町界隈も少しずつ開拓出来ました。今回はその繋がりで熊肉をご用意しました。
ロースは問題無かったのですが、切り落としはかなり臭みがあったので臭み抜きに苦心しました。
胡椒やスパイスを使うとボンヌマールに合わないので、柑橘などで味を調整しました。

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毎回、1人で10名分なので大変ですが、かなり慣れてきましたね。
今回も焼き物、揚げ物、蒸し物がありましたが、少ない火口で何とか対応させて頂きました。

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このようなワインを飲めるのは良い経験になります。今回も大変勉強になりました。(調理中は飲んでいる場合では無いんですけどね、、。)

今回は一皿目に信州の伝統食「おやき」をご用意しました。
やはり信州で味わうという事でこれからも僕の解釈でワインに合う伝統食の変化形を考えていきたいですね。
毎回、凄いワインが並ぶ会なのでメニューを考えるのも大変ですが、3シーズン目も頑張りたいと思います。