フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

畑仕事を開始。

白馬から帰って4月は専ら畑仕事です。

先ずは畑の見回りをしましたが、白馬に行っている間に鹿にアーモンドの芽や樹の皮は食べられていました。

 

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こちらが芽。


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皮もしっかり食べられていました。

 

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玉葱も片っ端から食べられました。

 

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畑に残してあった長葱も、、。

 

昨年まで玉ねぎや長葱なんて食べられなかったんですけど、鹿もグルメになったんでしょうか?

この日は深夜の畑の見回りに行き、4頭の鹿と鬼ごっこを楽しみました。

 

ちょっと鹿の獣害も深刻ですね、、。

 

悪い事ばかりでなく、良い事も。

 

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昨年、アトリエノマドの池田さんに株分けして頂いたキャンディーミントがもう芽を出していました。

さすがに長者原で育った苗だから、耐寒性が増してるのかもしれませんね。

 

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フェンネルやセルフィーユも出ていました。

 

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自分は他の専業農家さんとは違いますから、この時期から苗作りを始めます。

寒過ぎてGWには間に合いませんから、5月下旬の仕事に間に合うように準備して行きます。

 

さて今年は何を育てましょうか。

また何か新しい食材にもチャレンジしてみたいと思います。

 

 

 

椀子、御堂地区を見学。

白馬から帰って預けてあったワイン回収と同時に東信地域のワイナリーを見てきました。

 

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先ずはメルシャン椀子(マリコ)ヴィンヤード。

 

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日本のワイン法が変わって、今までこちらで採れた葡萄を山梨の工場で仕込んでいた物が出来なくなります。

そこで現地生産をする為に塩尻市の桔梗ヶ原と上田市の椀子に新しく2つのワイン醸造所が出来ます。

 

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こちらは今年オープン予定の建物で、その完成前の様子を見てきました。

思っていたより大きいですね。

 

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右岸にマンズワイン、左岸にメルシャン。

日本ワインを代表する2社がここにあるわけですから面白い。

 

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次に東御の御堂地区。

やはり真のワイン県を目指すには低コストのデイリーワインが必要です。

その為には効率化、機械化が必要ですが、長野県は小さな土地にたくさんの地権者がいたので大規模な土地で機械化が出来ませんでした。

 

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今回は今迄の東御ワインの活躍から地権者を説得して、約30haもの土地を葡萄畑に開墾中。

長野県でこんなに大きな葡萄畑は無いと思います。

 

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ちなみに椀子ヴィンヤードから見える対岸の山肌が大きく見える地域が御堂地区です。

本当にこれからが楽しみな地域です。

 

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最後に小諸のジオヒルズワイナリー。

 

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こちらはカフェタイムも終えていたので、周りを散歩してきました。

 

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こちらから望む浅間山がまた抜群にイイですね。

 

自分がフランスから帰国した時にはまだここまでの盛り上がりもありませんでしたが、本当にワイン産地らしくなってきましたね!

白馬の業務終了。

白馬の業務、無事に終了。

 

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4ヶ月分の汚れをしっかり落として、次のシーズンに備えて道具もしまいました。

 

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暖冬でしたが、雪に恵まれた昨シーズンの売り上げを大幅に更新出来ました。

レストランもリピーターの方々が多いですし、宿泊も常に満室でここに泊まりたくて近くで待機して僅かな空きを待つような状況でした。

既に来シーズンの予約も入り始めていますから、4シーズン頑張った結果も出始めた気がします。

 

白馬の特性を知るのに2シーズン、やっとメニューが固まり始めたのが昨シーズンですから時間がかかりましたね、、。

ほぼ外国人客のマリレンは日本人の感覚だけでやってはいけない場所なので、アジャストするのが大変でした。

白馬は美味しいレストランが無い、なんて言われていますが、新規に入ってきた近年の有名レストランはことごとく上手くいかなかったと思います。

(外国人のアルコールの摂取量が日本人の比では無いですから、安易な飲み屋をやるのは分かりますが、、。)

思った食材も入り難い白馬ではその環境を上手くこなせないといけませんし、多くのキッチンが海外からのワーホリスタッフと一緒に働くので公用語は英語です。

この環境に耐えられるのは調理技術以外にも「長野が好き」「白馬が好き」といった気持ちが無いと難しいだと思います。

 

フランスで培ってきた技術や経験が活かせて、地元貢献にもなって、ちょうど軽井沢が暇な時期に4ヶ月留学シェフみたいに英語まで勉強出来るわけですから、自分にとってはピッタリ過ぎますけどね。

軽井沢のようなガストロノミーを作り続けるのも疲れますから、フランス時代の週末に友人に振る舞うような肩の力の抜けたビストロ料理を作るのも気分転換が出来て良いものです。

 

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2月の終わりくらいから暇になるので辞めるスタッフは辞めていきますが、まだ残っているうちにささやかなお疲れ会をしました。

(写真を撮る前に料理は食べ尽くされていました、、。)

 

来シーズンは素敵な女性サービス陣もほぼ決まり、今シーズンのスタッフも帰ってくる予定ですから更に良くしていけると思います。

今から来シーズンが楽しみですね。

 

3月一杯まで宿泊があったのでホテルにいましたが、佐久に帰って遅れている畑仕事をこなしながら5月の出張料理に備えたいと思います!

白馬飯店でワイン会。

新潟から帰って、今度は白馬の方々と白馬飯店でワイン会。

 

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ヨシ君が「哲ちゅばり」に参加したという事で、薪火で富山からの蛍烏賊や銀鱈を焼いてくれました。

終始、店内で火が上がるものだから、火事にならないか心配でした(笑

いつもエチェバリなんかの画を見ながら「あんなに炎が上がって焼けるの?」なんて思っていましたが、やっとこの調理の狙いが分かりました。

 

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持参のワインはスタッフの誕生日、シーズンお疲れ様で「Meursault 1er cru genevriéres '08」(Domaine des Comtes Lafon)

 

白馬で頑張ったスタッフが長野で営業希望だったり、ワインを勉強したい、といった事なら、自分もそれなりのワインは出すつもりでいます。

自分も先輩によく飲ませて頂きましたが、さすがにこのクラスのワインを若い人がお金を出して購入するには高過ぎますよね、、。

高過ぎるのか適正なのか飲んでみないと自分の舌の物差しも出来ませんから、これも勉強です。

 

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日本ワインも合わせて4本。

この日はよく飲みましたね。

長野県がワイン県を目指すならワインを造る方々が増えるのは勿論ですが、そのワインを活かす料理人も育たないと。

 

白馬でもよいワイン仲間が出来ました(笑 

 

ウオゼンで食事。

白馬の仕事も落ち着いたので、料理人仲間で新潟三条「ウオゼン」さんに行ってきました。

 

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新潟の海の幸、山の幸。

ジビエもあるという事で、「たくさんだしてくださ。」とお願いしました。

写真はスペシャリテ佐渡産ボタンエビにブイヤベース、ルイユ。

 

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アミューズ3種はイノシシのリエット、玉葱マカロンツキノワグマのラグー、ラルドのタルトレット。

 

最初からジビエ全開。


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ヤリイカの薪火焼きにグリーンピース

 

スペインの「エチェバリ」が持て囃されてから、薪火に注目が集まっていますね。

鮮度の良いイカだからこそ、シンプルな火入れが素材を引き立てます。


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ジビエ、野草コンソメ


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最初にコンソメのみを飲んで、鳥の足跡に型取られた香茸パウダーを落として変化を楽しみます。


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アスパラ、マゾイを挟んでメインはイノシシのロワイヤルと雪下人参。

超クラシック。

 

高度な古典テクニックから薪火の素材重視の料理までとにかく素晴らしい。

 

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地方レストランだと料理は良くてもワインリストが、、みたいな事もありますが、こちらは日本ワインからフランス、イタリア、スペイン、、自分好みのワインがあり過ぎて選べないくらい。

 

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おススメに従って先ずは農楽蔵さんの泡。

もう生産されていないナイアガラの泡だとか。


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長野では滅多にお目にかかれない中澤さんのクリサワブラン。

こちらは'13。


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ジビエコンソメに合わせて貴彦さんのパス'12。

こちらはウチの蔵にたくさんあるので、マリアージュと味わいの確認から。


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メインにはおススメして頂いた農楽蔵さんのNora Rouge'17

少し早いかな、と思いましたが、時間をかけてあげると次第に開いてイノシシとも合いました。


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新潟でこれだけの著名日本ワインが飲めるレストランもなかなか無いと思います。

本当にワインも大満足。

 

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地方レストランとして、食事から演出から大変勉強になりました。

白馬に働き始めてからあまりジビエに触れる事もないんですけど、もっと勉強しないと、、。


まだまだ飲みたいワインもたくさんあるので、毎シーズン白馬の仕事が落ち着く時期に伺おうかと思います!

 

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セイズファームを再訪問。

富山2日目は氷見「セイズファーム」に行ってきました。

 

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前回は無計画に冬季休業中に来てしまい、開いていない建物の周りをウロウロ。。

 

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今回はしっかりアポを取って醸造所見学、その後はレストランで食事も頂いてきました。

 

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先ずは醸造所の中から。

 

富山でワイン?から始まったので、当たり前なんですけど色々問題もあったそうです。

今ではセイズファームのワインと言えば人気ですからね、、。

この日は白馬に車で帰らなければならなかったので試飲は無し。

 

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醸造所見学の後はレストランへ。

 

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入って右が雑貨やワインの販売。


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左がお洒落なレストラン。

 

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団体テーブル意外は富山湾や氷見の街、遠くの黒部の山々が望める見晴らしの良い席です。

 

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コース料理で頂きましたが、この日のメインは甘鯛でした。


鰤のイメージが強い氷見市にワイン目的でお客さんに来てもらうには半端は良くない、という事で、立派なレストランと宿泊施設が建てられたそうです。

この日も自分達以外は女性客で満席(回転もしてました。)

たまたま富山ナンバーの車が多かったですが、意外と富山市からより金沢市からの方が近いそうで石川ナンバーも多いとか。

 

ワインも料理も評判が良いですからね、、。

やはりワイン産地になれば、次はワインを美味しく飲ませるレストランですよね。

色々考えさせられました。

 

本当に充実の富山滞在でした。

 

富山の種麹店を訪問。

富山巡りの最後は南砺市「石黒種麹店」さんに行ってきました。

 

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北陸で唯一、全国でも僅か10件あまりしかない種麹屋さんで、味噌や酒などに使われる「糀(こうじ)」を作ってらっしゃるとか。

 

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伝統ある立派な店構えですね。

 

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こちらの甘酒を頂きながら、種麹、発酵についてお話を聞かせて頂きました。

 

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日本の料理業界でも急に発酵が持て囃されていますが、こちらのお話を聞くと何とも安易な技術に思えてなりません。。


発酵と言えば信州だと思っていましたが、他県の素晴らしい生産者を見ていると逆に信州の利点、欠点なども見えてきますね。

今迄は地元信州を知る時間でしたが、もう少し他県も勉強して地元を客観的に見てみても良い時期に来たのかもしれません。

 


2日前に急に思い立って「料理人が行って心踊る所を案内して。」と無茶振りしたにもかかわらず、こうして素晴らしい富山の生産の場を案内してくれた友人シェフに感謝です。

まだ足らないらしいので、また白馬の時間の空きを見ながらお願いしようかと思います。

 

刺激的な富山巡り初日でした。