Yoshinoriで食事。
パリ初日は待望の守江シェフの新店「Yoshinori」に早速行ってきました。
数々のパリのレストランで働かれた守江シェフが満を持して独立。
自分は以前の「L'auberge du 15」の時に伺いました。
今回のフランス滞在中のいつ行こうか考えていましたが、パリの友人が予約しているという事で便乗させて頂きました。
先ずはオヴェルノワのクレマンで乾杯。
自分がいつも思うのは、オーナーシェフの新規オープンのレストランは料理は気合いが入っていてもワインリストがありきたりでガッカリする事が多いです。
こちらは以前に石塚オーナーソムリエのLe Petit Verdot(プティ・ヴェルド)でシェフを務めてた経歴からも、数はまだ少ないまでも料理と合わせて楽しめるワインが多々あります。
頼んだのはランチのデギュスタションですが、その中から何品か。
カボチャに上はコーヒーの泡。
牡蠣は日本で4回当たっているので普段は絶対に食べない食材ですが、フランスでは食べます。
フランス時代からそうですが、どういう訳かフランスの牡蠣では当たった事がありません。
仔牛のタルタルにロマネスコ。
仔牛のタルタルはフランスでしか食べれませんよね、、。
以前のレストランは牡蠣の塩味と合わせたりと、癖のある食材では無いので使い方も色々です。
白はマコンのヴァレット。
自分がパリに居た時はまだ注目される前だったと思いますが、すっかりフランスのワインリストにも定着しましたね。
メインはスペイン牛。
フランスで活躍されるシェフが最近は挙ってフランスでは無くスペインの牛肉を使用してあるので食べてみたかったんです。
日本では味わえない熟成した赤身肉に大満足。
赤ワインはソムリエの方に選んで頂きましたが、こちらのワインの香りと熟成肉の独特の香りがマッチしてとても良かったです。
以前のL'auberge du 15の時よりも料理と店の雰囲気も合っていて、守江シェフの世界観全開。
まだオープン数週間ですが、凄い繁盛ぶり。
素晴らしい料理を頂けて、幸先の良いフランス旅行のスタートになりました。
守江シェフ、ご馳走様でした‼︎
フランスに出発。
フランス本帰国後から毎年フランス旅行を続けています。
今年は白馬の仕事の都合上、11月上旬に2週間ほど行ってきました。
目的は色々ありますが、先ずはワインの回収です。
パリ時代から日本で購入の難しいワインの入手経路を作っておきました。
日本に帰国したからといって、そのご縁を切らさない為にも毎年必ず伺って購入するのが大切でと思います。
最初はメールで購入する旨を伝えても来るのか来ないのか半信半疑だったと思いますが、毎年続けてきたのでパリ時代から変わらない自分の分のワインが確保されています。
出張料理は基本的には信州の食材を活かした地産地消の料理を心掛けていますが、ちょっとした調味料やバターはフランスの物を使っています。
特にオイルは日本では手に入らない物を使っていますし、塩なども日本で購入すると高いので1年分をまとめて購入してきます。
食べ歩きも勿論、旅行の主要目的の一つです。
やはり現在の立ち位置を確認する為にも、現地フランスのレストランは毎年いきたいものです。
ブルゴーニュのドメーヌ巡りも毎年欠かさず続けています。
長野ではNAGANOワインの普及に県をあげて力を入れています。
そんな中で必ずワインに秀でた料理人が必要な時代が来ると思っています。
本で読んだような情報主体では今ではネットで簡単に調べられます。
やはり自ら行って飲んで体験してくる事が重要だと考えています。
後はせっかくフランスで生活していた自分の中のフランス的な空気感をまた日本に染まり切らないようにする為でしょうか。
自分の周りにもフランスに長く滞在してきた料理人がたくさんいますが、帰国して長く日本で生活しているとまた日本的な考え方に染まってしまう気がします。
日本の飲食業は拘束時間が長いですし、休みもフランスに比べたら少ないです。
そんな中で良い料理のアイディアも浮かばない気がします。
これらの事項を遂行するには、今のような働き方が最適です。
夏、冬はリゾート(夏は軽井沢、冬は白馬)で働いてしっかり稼ぎ、空いた時間は農業にフランス旅行。
まだまだ改善の余地はたくさんありますが、それらもやりながら少しずつ直していけたらと思っています。
次回から今年のフランス旅行の記事を書いていきたいと思います。
第8回ア・ベーでコラボディナー。
パリ時代の友人、阿部シェフと彼のレストラン「àBêe(ア・ベー)」@尾山台でコラボディナーを行いました。(フランス旅行前なので、10月下旬です。)
お互いの出身地の食材、ワインを合わせる企画も今回で8回目になります。
アミューズは信州サーモンのタルタル。
酸味やアクセントにウチの固めのプレジデントを刻んで混ぜています。
香ばしさに蕎麦粉のクレープ。
信州サーモン、フルーツ、蕎麦で信州を演出。
合わせるのに長野のシードルでも良かったのですが、あえての奥出雲のシードル。
あまり知られていないワインもこの会の趣旨でもありますからね。
寒くなってきて葉物も味が乗ってきてますし、フルーツも美味しい。
この時期ならではの「39グイユ」(サクグイユ)
勿論、自分が好きなフランスのレストラン「Bras」のスペシャリテ「ガルグイユ」を自分解釈で佐久の食材で作りました。
軽井沢の「ORTO ASAMA」無農薬野菜にシャインマスカットなどの東御のフルーツ。
佐久穂町の根菜類、生クルミも今だけなので添えました。
佐久の花コスモスも食用花で育てられた物です。
小布施ワイナリーのヴィーニュフランセーズブラン'16。
セパージュはソーヴィニョン・ブラン、アルバリーニョ、シャルドネ。
先日、ワイナリー訪問をして試飲をした時に、1番ピンときた1本。
この時期なので天然キノコ。
前週の軽井沢ワイン会ではハナビラタケを添えましたが、今回は手に入りませんでした。。
城戸さんのピノ・グリ'11。
実はこの後の鶏とも合うんですけどね。
城戸、タカヒコ、ファンキーシャトーは告知の段階でお出しする事が決まっていたので、並びなどを考えてキノコ料理に出しました。
境港からマグロとゴボウ、ブロッコリーとビーツ。
実はこのお皿が1番揉めました。
境港はマグロの漁獲量日本一だそうです。
あまり知られていないので使おう、という話でしたが、自分的にはマグロは山葵醤油を超えるのは難しいと考えるからです。
台風ばかりでマグロしか無かったのも挑戦のきっかけですが、、。
阿部シェフ担当でしたが、このゴボウがビックリするくらいよく合いました。
初日のビーツはワインの邪魔を少ししたので2日目は外しました。
なかなか毎回試作、試飲を出来るようなワインではないので、初日から合わせるのは難しいですね、、。
ワインは奥出雲ワイナリーの「杜(もり)'16」
山葡萄中心のワインですが、この山葡萄の強烈な酸味がまたマグロとゴボウとよい相性でした。
その土地の食材とワインを合わせるというのがやはり基本ですし、日本古来の葡萄品種もこうした料理と合わせる事で魅力を引き出せる事を再認識しました。
信州福味鶏にパストゥーグランのチャツネ、栗カボチャと小布施産和栗。
こちらはワインから料理をイメージ。
パストゥーグランに合わせる為にピノ・ノワールとガメイで作ったチャツネを添えました。
貴彦さんのパストゥーグラン'10。
程良い熟成、、。
保存状況の良い所で熟成させると、更に進化を発揮しますね。
体験上、よくある機械のセラーでもこのワインは影響を受ける気がします。(特にピノ・ノワールはそう思います。)
メインは鳥取和牛オレイン55。
オリーブオイルの主成分オレイン含有量が55%以上の脂の質にこだわった和牛です。
落花生と菊芋、立てた生クリームを混ぜた物をクネルで添えて赤ワインソース。
ワインはファンキーシャトーの東山メルロー'11。
適当に熟成したファンキーの赤は抜群に美味しい。
たまたま蔵の奥に2本あったので、今回のコラボでお出ししました。
自分の好みですが、ボルドー系はファンキーシャトーのワインが1番好きです。
阿部シェフが追加融資してくれた北条ワイン、スペシャルセレクション。
VT記載の無いブレンドワインですが、これが適当に熟成していて実にイイ。
日本のワインはフランスの原産地呼称みたいな制度が無いわけですから日本らしい品種のブレンドがあっても良いと思いますし、意外とそんなワインがたくさんあっても面白いと思いました。
デザートは東御産の干し巨峰と黒糖クルミのヌガーグラッセ、ラ・フランスのキャラメリゼに紅玉のピュレ、栗のクランブル。
こちらは最近の定番デザートです。
ざんざ亭コラボにはアカシアカスタード、地元の酒イベントには酒粕カスタードにしましたが、ちょうど紅玉が出てきたので紅玉ピュレにしました。
ワインはマンズワインのSOLARIS信濃リースリング・クリオ・エクストラクション'14。
フランス帰国後からコツコツと購入しては蔵で熟成させたNAGANOワイン(貴彦さんのワインも小布施繋がりで、、。)を出していますが、なかなか城戸さんや貴彦さん、ファンキーさんの熟成ワインは他では無いと思います。
特に貴彦さんのワインは今回の会に限らず「今迄飲んだ貴彦さんのボトルで1番状態が良い」と毎回言われます。
ウチの蔵の保存環境、かなり優秀みたいです。
日本ワインはあまり熟成に向かないと思っていましたが、今回の2010〜のVTはまだまだ楽しめそうです。
境港のマグロに小公子などチャレンジもあって、マリアージュの面でも勉強になりました。
やはり基本は土地の食材に土地のワインですね。
まだまだたくさん熟成した日本ワインがあるので、また企画してお出ししようかと思います‼︎
(次回からフランス旅行を書いていきたいと思います。)
軽井沢でG.ルーミエ垂直ワイン会。
恒例の軽井沢DVDワイン会の出張料理に行ってきました。
(フランスに行っている最中で記事の更新が滞っていました。この会の開催は10月中旬です。)
今回のテーマはGeorges Roumierの垂直でした。
Morey-Saint-Denis 1er cru Clos de la Bussière
88、90、96、98、00、02、05、09
2日連続で違う参加者の方々と行われたのですが、2日目はモレ・サン・ドニ'09ではなくシャンボール・ミュジニー'09が出ていて開けてしまうというアクシデント。
参加者の計らいでそちらも飲む事が出来ました。
やはりシャンボールとモレとは違いますね、、。
ブラインドはコングスガード、ジュラのシャルドネ。
料理は5品作りました。
信州サーモンの柑橘マリネとシャインマスカット、山葵サワークリーム
毎回、佐久穂町「八千穂漁業」さんの川魚はメニューに組み込むのですが、今回は信州サーモンにしました。
直売所に行けばフルーツの豊富な時期ですから、信州サーモンにはシャインマスカットを添えました。
種の無いシャインマスカットは料理にも使い易いです。
春日「Bosqueso」モッツァレラ、あやめ雪カブのババロア、ほおづき、プルーン(プレジデント)、生クルミ、根菜色々
佐久市春日にあるチーズ工房「Bosqueso(ボスケソ)」是本さんのチーズ推しです。
チーズを中心にこの時期の根菜類をスライスして上手く盛り込みました。
酸味や甘味のアクセントにフルーツほおづきや少し固めの酸味の強い実のプレジデント。
こちらもこの時期だけの生クルミ。
割って薄皮をなるべく取り除いて使用します。
フランスでは生アーモンドや生ヘーゼルナッツなどを使いますが、クルミも乾燥した物とは違うフレッシュ感があって美味しいです。
東御産カボチャのポタージュ、蕎麦粉ニョッキ、小布施産の栗、落花生オイル
ちょうど甘味の増してきたカボチャがあったので、シンプルにポタージュにしました。
ボリュームを持たせるのにそば粉のニョッキ。
こちらもこの時期に欠かせない小布施の栗。
香りのアクセントに落花生オイルをかけました。
信州産キノコ各種(ハナビラタケ、リコボウ、クロアワビ茸、ナメコなど)、マコモダケ、東御産白土馬鈴薯のピュレ
数日前まではメイン前のお皿を決めかねていましたが、天然キノコが手に入ったので何とか成立。
天然キノコの不作の年ですが、少し遅れて発生さています。
写真のハナイグチも本来なら9月下旬から10月上旬のキノコですが、10月中旬から下旬に出始めました。
更にハナビラダケが手に入りました。
食感がコリコリして、美味しいキノコです。
もう少しキノコとは違う食感が欲しかったので、今回はマコモダケも小さくキューブ状に切って添えました。
美ヶ原産猪のロティ、東御産人参のピュレ、パストゥーグランのチャツネ
こちらも良いタイミングで手に入った美ヶ原の猪です。
本来はもう少し冬に近付いた方が脂も乗って美味しいのですが、この脂もこの時期にもかかわらず申し分無し。
相当、食いしん坊な猪だったんでしょうね、、。
個体は大きい雄だっだのですがまだ若いので、臭みもありません。
こちらはシンプルにローストにしました。
ちょっと横に添えた紫はパストゥーグランのチャツネです。
ちょうどワイン葡萄の収穫時期だったので、ワイン畑に行って2番成りを頂いてきました。
2番成りは通常の葡萄の上に出来る10粒もいかない小さな葡萄です。
本来は酸味が強くてワイン葡萄に混ぜないでむしろ切って落とすだけの葡萄ですが、酸味があるので集めてソースにしました。
ピノ・ノワールだけでは種を取る際に果肉を取り過ぎるので、果肉の大きなガメイも混ぜました。
信州の秋の食材で誰もが連想する果物、キノコ、栗、胡桃などを各皿何かが入るように意識して作りました。
全部の料理を出したら自分も頂くのですが、初日は調理後に全種類。
2日目は抜栓、サービスのタイミングからグラスで頂いていきました。
しかしG.ルーミエをこんなラインナップで飲めるなんて贅沢です。
この軽井沢DVDワイン会の料理を担当して32回(34回中2回は他の仕事で欠席)ですが、必死に地元食材を勉強してきたので第1回の料理と比べたら少しは自分の料理も良くなってきましたね。
ちなみに第1回もG.ルーミエでした。
凄いワインも試飲させて頂いてますし、本当にこの会のおかげで凄く成長出来ていると思います。
毎回、地元食材でメニューを考えるのも大変ですが、次回も少しでも成長出来るようにしっかり準備したいと思います‼︎
軽井沢のISAKを訪問。
ツアーの同行で軽井沢「UWC ISAK JAPAN(インターナショナル・スクール・オブ・アジア)」の施設見学に行ってきました。
軽井沢の山奥に出来たのは知っていましたが、初めて来ました。
自然に囲まれた素晴らしい環境ですね。
こちらは図書室でしょうか。
こちらは美術室。
先生がビックリするくらい際どい作品を作る生徒さんもいるそうで、自由な発想を押さえつけない教育方針が窺えます。
こちらは食堂です。
こうした様子を見ても、日本の学校では無いみたいですよね、、。
全寮制なので、宿泊施設ももちろん完備。
現在、高校生クラスを受け入れという事ですが、日本の一般的な高校とまるで違います、、。
実はこの佐久界隈は優れたベンチャーの成功者を多数輩出しています。
そこには既存の学校の取り組みとは異なる時間の余裕の部分が大切ではないかとも思います。
今の日本の教育現場が詰めこみ式の形式だった学習のお役所なら、こちらは自由な発想を活かしたベンチャーのオフィスのイメージでしょうか。
若いうちから英語の教育環境で、外国人の子供達と自主性を重んじる教育を受けたらどんな日本人が育つんでしょうね。
自分の時代に地元にこんな学校があったら、通ってみたかったです。
日本の詰め込み式の教育が合わない子供もいる訳で、今後の日本の教育についても色々と考えさせられました。
醸 KAMOSU '2017の風景。
先日、苔生す貞祥寺で開かれた「醸 KAMOSU 佐久の酒と発酵食祭り」の昼の部様子です。
ケルトアコースティック、ピアノ、尺八と朗読、素敵な音色の流れる中、佐久地域の13蔵「SAKU13」日本酒試飲や醸市、酒塾、座禅、39BARランチボックスにカフェなど様々なイベントが催されました。
自分は夜の「Shikaryo sake dinner」の仕込みでほとんど昼の部の様子は見ていないのですが、2日間で当初予定の倍近いお客様がお越しになったという事で大盛況だったみたいです。
こうしたイベントをきっかけにしてもっと佐久地域が盛り上がるように、これからも料理人として尽力出来たらと思います。
貞祥寺で酒フレンチ。
先日、佐久の貞祥寺で行われた「醸 KAMOSU 佐久の酒と発酵食祭り」のShikaryo sake dinnerを担当させて頂きました。
フランスにも縁のある苔生す貞祥寺で行う寺フレンチ。佐久の日本酒と合わせて料理を作らせて頂きました。
普段は檀家さんやヨーロッパなどのお弟子さんがいらした時に使われる知客寮(しかりょう)をフレンチの場にアレンジ。
素晴らしいアレンジをして頂いたのは軽井沢を中心にフルオーダースタイルのフード・カフェケータリング、パーティーのフードコーディネートを手掛ける「VISCONTI+compagno」大崎さん。
日本酒は佐久の13蔵14人「SAKU13」から土屋酒造、土屋さんが担当。
アミューズは3点盛り。
発酵飯のおかきに東御産のブロッコリー。
佐久鯉と白土馬鈴薯のコロッケ。
佐久穂産カボチャのタルトレット。
最初のお皿は会場内を「苔生すお寺で食事」という雰囲気にする為に、日本らしいお皿に乾燥させた苔、和紙で貞祥寺らしさを演出しました。
合わせたお酒は土屋酒造「茜さすスパークリング」にウチの自家製果実酒を混ぜたカクテル。
事前に3種類の果実酒で試してみて、土屋さんに太陽(スモモ)を選んで頂きました。
前菜は八千穂漁業の大王岩魚とプレジデント(プルーン)のタルタル、蕎麦粉クレープ包み。
緑のクーリは野沢菜。ほおづき、素麺カボチャなども添えました。
貞祥寺から徒歩2〜3分にある食用花栽培「Suki Flower Farm」で佐久の花コスモスやダリアを中心に購入。
合わせた日本酒は大塚酒造「浅間嶽」純米吟醸。
日本酒に合わせるという事で和食のイメージから料理もアプローチしています。
こちらは刺身のイメージから香りと米の旨味が調和したこちらを使用しました。
温前菜は「玉ねぎと生ハムのミルフィーユ」
こちらは自分がパリ時代に働いていた「Passage53」のスペシャリテの自分なりの改良版。
自分の経歴や本場の星付きレストランの料理を知って頂く分でも、フランス修業時代でも1番影響を受けたレストランの料理をお出ししました。
少量多皿のコースで進むPassage53では玉ねぎのみですが、今回はそこに信州のキノコを添えました。
お寺のキッチンだと難しいかとも思ったのですが、綺麗に焼き色も付いて上手くいきました。
特注蔵出し、非売品の品ですが、打ち合わせの段階で試飲をしていました。
かなり熟成した色合いから焼いた香ばしさをイメージ。
玉ねぎミルフィーユは1回火を入れた玉ねぎを1枚1枚剥がして、生ハム、玉ねぎ、生ハム、玉ねぎと組み直して砂糖とバターでキャラメリゼします。
そのキャラメリゼが合うと考えました。
メインは「信州産 経産牛ホホ肉の酒粕溜まり煮込み」
子供を産んで商品価値の下がる経産牛も美味しく食べ切るをテーマにしてみました。
メニューを考えた元はこの酒粕溜まり。
溜まり醤油、溜まり味噌のように、酒蔵にも酒粕溜まりがあるそうです。
これはかなり綺麗にすくい取ってくれたそうです。
味わいは高級な味醂といった感じだったので、フランス風の肉じゃがを考えました。
お肉は経産牛ホホ肉にして酒粕溜まりと少しお醤油などで仕上げ、軽井沢サラダファームの色とりどりの人参に白土馬鈴薯のソテーを添えました。
肉じゃがを意識したと分かり易くする為に白滝を加えました。
緑はクレソンです。
肉の塊を切り分けると冷めるのが早いので、煮込み料理にしました。
ボランティアの方々が混乱しないように、作った物を真空パックで小分けしてお寺の大釜のお湯で温めました。
合わせたのは伴野酒造「澤の花」生酛特別純米 お燗
こちらは蔵元の方々自らお燗を入れてくださいました。
ワインなら冷やすか常温までだと思いますが、日本酒はお燗まで出来るのが優れた点だと思います。
料理のイメージをお話ししたら「お燗にしよう。」となったのですが、そこがやはり日本酒のプロですよね、、。
デザートは「ヌガーグラッセとウチのラ・フランスのキャラメリゼ、酒粕カスタードクリーム、栗のクランブル」
たくさんお酒を飲んだ後なので、冷たいアイスクリーム的な物が良いと考えました。
自分の設備的にアイスクリームが作れないので、立てた生クリームとイタリアンメレンゲを合わせて冷やし固めるヌガーグラッセにしました。
中には東御の種無し巨峰やクルミを混ぜました。
紅玉には少し早かったので、洋梨でタタン風をイメージ。
酒蔵コラボも意識して酒粕カスタードクリームも添えました。
イベント事では最初と最後の演出を意識します。
器などでその雰囲気を楽しむイメージでしょうか。
昨年は酒蔵のお酒の升を用いましたが、今年は半割りにした竹にしました。
合わせたのは武重本家酒造「牧水」貴醸酒 1999年。
仕込水の代わりに清酒を用いた貴醸酒の大古酒です。
蜂蜜様の高貴なニュアンスに熟成したこの色合い。
このイメージからキャラメリゼをした何かを作ろうと考えました。
ちなみに前のお燗とこちらに使用した白磁器は佐久穂在住の日本利酒選手権大会の優勝者、由井志織さんデザインの物です。
よく他方でも有名なシェフやデザイナーなんかを呼んでイベントをしていますが、自分は先ずは他方に頼らないで自前で頑張ってみる事が筋だと思います。
自分達がやれるところまでやった上で呼んだりするならアリですが、最初から頼り過ぎは良くない。
他方からの方々に「地元愛」はありませんからね。
その点、佐久地域の人財、食財(ここではあえて財の字を使いますが)でこれだけのイベントが出来た事が嬉しいですね。
関係者やボランティアの方々、参加されたお客様に本当に感謝です。
凄く大変ではありましたが、とても楽しかったです。