フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

2015年、今年の展望。

年も明けて軽井沢の仕事も完全に終了。多くのお店はゴールデンウィーク(GW)まで暇な日々だと思います。

軽井沢でレストランの商売をする上で、こうした暇な時間の有効活用が重要だと思っています。
自分は日本の中で軽井沢ほど客足が極端な場所は無いと思っています。
繁忙期には集客の必要はありません。おそらく何処のお店も毎日満席です。
逆に閑散期はどうしてもお客さんは来ません。焦って値段の安いコースなどを始めるとお店のブランド力が落ちるので繁忙期の価格設定に影響してしまい逆効果だと思います。
繁忙期の稼ぎだけで1年過ごせる(過ごせないといけない)のですが、どうも閑散期の暇な時間の過ごし方は気になります。

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繁忙期はGW、夏、紅葉の季節、年末年始でしょうか。休日の組み合わせ次第ですが、軽井沢ではクリスマスもそれほど忙しくは無いと思います。

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自分は地元なので4月頃から畑仕事に取り掛かります。GW、夏場に使用するハーブ、花、野菜作りです。

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GWには畑に出るのは難しいですが、7月の海の日まではじっくり畑仕事ができます。こうした作物を使いながら夏に利益を上げるのは凄く重要だと思います。

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紅葉の季節が終わればウチの果樹園の収穫。B級品の加工(ジュース、果実酒、ジャム、チャツネなど)を行います。

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クルミや栗の収穫、加工も大事ですね。
ウチの庭で拾って来るので全部タダです。
クルミは乾燥させて、暇な時間に割っては掃除して保存します。

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自分はワイナリーの仕事も手伝いに行きます。自分の扱うワインの事、作り出す人の事を知りたいからです。

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11月からは狩猟。
最近は獣害が多発していますし、猟師の高齢化も問題です。こうした技術はしっかり継承しないといけないと考えます。
自分が出来れば害獣対策にもなりますし、料理にも活かせると思っています。
先ずは今年の2月の試験を受けて資格を取得したいと思います。

クリスマス、年末年始、御節の仕事を終えたらフランス旅行。
気持ちのリフレッシュ、先端のフランスの料理に触れる、ワインの回収、、理由は色々あります。

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自分が毎年買うワインのフランスの出荷時期は10〜翌年2月頃。メールで頼んで2月に行けばワインを回収出来ます。

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買わなかったらせっかくフランス時代から買い続けているワインも買えなくなりますし、年に1度は日本からお土産を持ってご挨拶したいですからね。
こうしたフランスの人間関係は自分がフランス修業時代に築いた大きな財産だと思うので、大切にしたいと思います。

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フランスでしか買えない調味料を買って来るのも大切な仕事です。この一振り、ちょっとしたひと手間が料理の完成度を変えます。
こうした物を運ぶのも2月の気温でしたら安心です。買えるお店もパリ在住時に調査済みですし、レストラン経由でしたらパリの先輩、友人シェフに頼む事も出来ます。

フランスから本帰国する前から自分らしい日本での料理人人生を考えていました。
3年間軽井沢のレストランで働きながら試行錯誤を繰り返し、こうした1年の過ごし方を考えています。まだまだ考えが煮詰まって無いので、甘いのですが、、。
ただでさえ拘束時間の長い飲食の正社員で働き続けるよりは楽しいかな、とは思っています。
目指すは自分が1番好きなレストラン「Bras」のようなお店でしょうか。


よく「早く自分のお店を持ちたい。」と言って持つ人がいます。自分も「持たないの?」と言われます。もちろんそれも一つの目標です。
しかし、今のフランス料理業界では大きな借金をしてお店を持たない方が良いように思います。(特に地方は)
フランス料理店が必要だったバブルやワインブームの時代は去って、今はお店があり過ぎて飽和状態です。よほど他のお店を凌駕する、コンセプトのあるお店でないと通用しません。それに地方では飲酒運転の取り締まりがあるので、都市部ほど飲料の収益を見込めません。

いつも思うのはお店を持つのが最終目標ではなく、その先に何をしたいのかが重要ではないかという事です。それも周りの人達をたくさん巻き込める共感できるような目標。
お店を持つという事はその目標達成の為の過程に過ぎません。
自分は信州にこれからたくさん増えるであろうワイナリーで作られるワインを何処よりもしっかり扱うお店にはしたいなと思っています(飲酒運転対策は考えないといけませんが。)。
フランス料理の知識も、毎年、本場のワイナリーを訪ねる経験も活かせると思います。
それに県もワインに力を入れ始めていますから、こうした世の流れに乗る事も出来ると思いますし、これから自分が引退するまでずっと打ち込める目標だと思います。
こういう書き方をすると語弊があるかも分かりませんが、よく聞く「地元食材や地元ワインを使って盛り上げたい‼︎」というのは、やはり地元出身者が言う方が説得力があると思います。これは自分がやりたい地元が1番条件が良いという事で、自分は本当に運が良いなと思います。
東京からの適当な距離、軽井沢のような別荘地がある事、地方でもフランス料理が違和感無い場所も珍しいと思います。
食材が良い、野菜が美味しいという長野県のブランドイメージ、新規就農者支援によって若い拘りの生産者が増えている事、ワイン県として県産ワインの需要が伸びることが予想出来る事、、地方でレストランをやるなら自分の地元が1番だと思います。

色々書いてきましたが、チャンスがあればお店をいつでも始められる準備をしておきたいと思います。
今年一年も時間を無駄にしないようによく考えながら過ごせたらと思います。