フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

名人の十割蕎麦を頂きに。

地元の蕎麦打ち名人にお誘い頂いて、手打ちのお蕎麦を頂いてきました。

 

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長野県ですから近所にも蕎麦打ち名人と呼ばれる方々が沢山いらっしゃいますが、この方は別格ですね。

 

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蕎麦は細切りの十割蕎麦。

 

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打ったお蕎麦も焼き立てのパンも全て名人が畑で育てた蕎麦、小麦からご自身で製粉して作られています。(話しが盛り上がり過ぎて製粉所を見せて頂くのを忘れました。。)

畑から育てて製粉までやる人を初めて見ました。
抜群に美味しく、その拘りが本当に凄まじい。

 

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食後のコーヒーも引立て、暖炉で温まったお湯の温度が絶妙です。

やはりこの季節の暖炉はイイですね、、。

 

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蜂蜜も自宅から採取のニホンミツバチの物。

甘さ控えめでこちらも美味。
水菓子は出来た物から更にひと手間加えた特製干し柿

 

凄くシンプルですけど、何年もかけて畑から名人が築いてきた食事を頂けて、何から何まで贅沢な時間でした、、。

 

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こちらは「撒いてみなさい。」と小麦の種を頂きました。

フランス料理をしているので小麦粉を使いますが、肝心な育ち方を知りませんでしたね。

大量にとはいきませんが、どのように成長するのか少し撒いてみたいと思います。

 

出張料理をしていてもどんな料理が贅沢かをいつも考えさせられます。
軽井沢のお客様だから、ただお金を使って高い食材を集めれば贅沢という訳でも無いわけで。

東京で感じる贅沢もあれば、長野で感じる贅沢もあります。

 

自分も自身が感じた信州の贅沢を自信を持って提供出来たらと思います。
名人、ご馳走様でした‼︎

 

(いつか、こんな感じで農泊は挑戦してみたいですね。)

プロに頼んで畑の整備。

そろそろ畑仕事を始めようと思い、先ずは佐久穂「bonum Terrae(ボヌムテッレ)」飯島さんに畑を見て頂きました。

 

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今迄は色々な生産者の畑を見学しながら独学でやってきましたが、そろそろプロの方に見て頂いて助言を頂こうかと。

 

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畝の作り方は春日のニックさんに教わった幅取りを参考にしています。

 

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あまり手を加えないでも育つイメージでハーブを植えていますが、畑より雑草を積んだ山から零れ種で増えるセルフィーユの方が元気だったり。

いい加減、土の成分も考えないといけませんね、、。

 

6月頃から欲しい食材の助言やアイディアを頂けたので、早速取り掛かろうかと思います。
その年の気温や天候を反映させたかったのでハウス栽培はしてきませんでしたが、依存し過ぎない程度に今年からやろうかと思います。

 

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こちらはリーフフェンネル

暑さに弱いセルフィーユやディルと違って、夏の最盛期にも元気に育ちます。

料理に使ったり、信州の川魚なマリネに重宝します。


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こちらはノコギリソウ。

柔らかい葉を用いますが、味も見た目も料理に良いアクセントを与えてくれます。

使う料理人が増えたので植えてみましたが、繁殖力が強くて増え過ぎです。


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放置していた昨年のイタリアンパセリも寒い冬を耐えて生えてきそうですね。

新しく苗も作りますが。

 

毎年、地産地消、自産自消で色々な種を購入しては、適地適作をモットーに試しています。

 

畑が進化すれば自然と料理も進化できると思うので、今年も色々な食材にチャレンジしようかと思います。

畑の測量のお手伝い。

地元ワイン生産者が新しく畑を借りたという事で、測量のお手伝いに行ってきました。

 

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言われた通りにメジャーで計りながらポールを立てていきます。

一方がメジャーを押さえて、一方が引っ張る。

さすがにこの仕事は2人いないと出来ないですよね、、。

 

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起伏のある面白い土地ですが、どんな品種が植わるのか楽しみですね。

 

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別の畑に移動して、今度は苗木や台木の整理。
一昨年、見学した何も無かった土地も苗が植わって葡萄畑らしくなっていました。

 

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ちなみにこちらが一昨年初めて訪問した時の畑。

まだ何も植わっていません。

 

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自分が「この人は」と思う生産者は、ワイン賀出来る前から応援しています。

農業ですからマンパワーも必要な作業もありますし、自分が手の空いている時には積極的に手伝います。

ワイン生産のこうした過程から関われるのは自分としても嬉しいですし、生産者の想いも乗せて販売出来る料理人にはなりたいですね。

 

ワインの整頓。

白馬から佐久に帰ったので、仕入れたワインの整頓をしました。

 

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G.ルーミエ。


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コシュ・デュリ。


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ラヴノー。


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ギョーム・セロス。


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裏にも書いてありますが、極少量生産。


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人気のジャック・セロスのイニシャルも今では昔のシュブスタンスの値段です。

 

フランスで高いワインが売れないせいか、今年の割り振りは多めです。

この辺りの希少ワインがネットでちらほら見られますから、やはりアジアに流れているのかもしれません。

コロナ禍の経済を考えたらアジア経済の方が先に回復しそうですし、富裕層のお金の投入先もこの辺りの高級ワインになるのかもしれないです。


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こうした状況になるのを予測した訳ではないですが、「どの位購入したい?」と言われたら「自分が買える分を全部」とは昔から毎年答えていました。


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こうしたコネクションがあるからこそ、こんな状況でも購入出来ています。

 

「こんな高いワインを。。」と言われる方もいると思いますが、こうした価格でも購入したい方は沢山いらっしゃるんですよね、、。

とは言っても、必要なら地元の若いワイン生産者と勉強の為に飲んだりしてしまうのですが。

 

本来ならフランスに行ってもっと試飲したり購入したりしたい所ですが、まだしばらくお預けですかね。

 

白馬の業務終了。

急ですが、2月13日をもって冬シーズンに働いていたレストランを辞める事になりました。

 

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ここ2〜3週間は色々あり過ぎて悩みましたが、正直しょうがないかなとも思います。

自分の中ではスタッフの健康、安全が優先。


雪山のフードビジネスのノウハウは得られましたから、またこの経験を活かせる場で料理を作れたらと思います。

 

白馬から地元佐久に帰ったばかりなので、一応の経過観察をしてから動き出そうかと思います。(2回検査で共に陰性ですが)
しばらくは畑仕事ですが、いつもはやらない3月の出張料理も日程次第で承ります。


よろしくお願い致します。

 

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静かにワインで誕生日。

先日、白馬で42歳の誕生日を迎えました。

 

その数日前には報道による心配のメールも沢山頂きましたが、個人的には元気です。(厄年、全開。。)
いつもならホテルスタッフにも祝って貰っていましたが、コロナ禍なので今年はやらないように言ってありました。
その代わりに普段は開けないワインを蔵から出して開けました。

 

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大好きなローズドジャンヌのオートランブレ。

こんな状況でもシャンパンくらいは飲みたいですし、赤ワインも自分の人生を振り返る様な同い年の物を。

 

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ボーヌで購入していたほぼ蔵出しのサントネー1er cru'79。

 

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’79はそれ程良年でも無いので、よく就職氷河期組やロスジェネなんて言われる世代の自分と重ねて飲むつもりでした。

飲む前は「既に枯れてんじゃん(笑)」位に自虐的に飲むつもりでしたが、予想に反して素晴らしい香り、味わいでした。

 

こんな素敵な同い年のワインに「まだまだ元気!人生これから!!」と励まされた気分です。

日頃から開けるワインでは無いですから、静かにゆっくりワインを楽しむ誕生日も悪く無いとも思いました。

 

どちらかと言うと出張料理をしている性質上、あまりコロナの影響は1年トータルで言えば無かったと思います。

しかし昨年に続き難しい1年になりそうですから、臨機応変に今迄通りにコツコツと自分を地域で活かす仕事を進めていけたらと思います。

 

出張料理を始める上で。

コロナ禍でレストランの需要も制限される中、出張料理の需要が増えてきています。

今まで見た事もない様な出張シェフ養成講座の広告がSNS上に出てきたり、実際に始めるシェフが出てきたり。

地方で出張料理人をしてきた自分の見解を書いてみたいと思います。

 

先ずは出張料理人において、家庭の一般的な食事のお手伝い(その日の食事や保存可能なお惣菜作りなど)をメインにした方と家庭やその他の場所でレストランのクオリティの料理を作る方の2種類になるかと思います。

見ていると前者の料理人はこちらが本業と言うでもなく、副業的に収入を得られれば良い様なケースに見えます。

レストランでも薄利多売の商売が難しいように、このケースも1回の単価が低いので数をこなさないと一般人並みの収入にはならないと思います。

都市部において需要はあるかと思うので、副業的な考えならありかと思います。

 

それではレストランで働いてきた料理人がそのクオリティーを出張するケースはどうでしょうか。

こちらも薄利多売と高単価高品質で少量売る方法があるかと思います。

こちらの薄利多売は例えば企業などのパーティーであったり、結婚式のケータリングなど。

ただ、これらのケースは今はコロナ禍で需要がしばらくは無いと思います。

結局のところ、今から出張料理1本で生計を立てたいなら、高単価高品質で少量販売しか道は無いと考えています。

流行り文句の「働く時間は減って、入るお金が増えた。」はこの方法しか考えられないかと。

 

ここからは自分の事で。

レストランの様に毎日予約が入る仕事では無いですから、せいぜい1人辺り15000円〜に別途出張費が妥当な線かと思います。

(自分は色々なホームアドバンテージがあるので10000円〜でやってます。)

 

頼まれる案件がレストランでは目立つVIP(芸能人、政治家など)も多い為、こうしたプライベートな場に入っていける信頼性が求められます。

余計な事は口にしない。余計なSNSアップなどしないなど。

この仕事を始める最初の取っ掛かりがワインでしたが、そこからコツコツと軽井沢で顧客を増やしていきました。

最近見る出張料理講座などにこの様な信頼性があるとも思いませんし、レストラン経営をしていて顧客を持っているシェフならすでにお客様から声がかかっていると思います。

 

そもそも何故これまで出張料理人がいなかったかと言うと、レストランをやるより非効率だからだと思います。

仕込んだ物を梱包、移動をした後は普段使わない慣れないキッチンでの調理、片付け、撤収。。

余程のアドバンテージが無ければ、この仕事をして上手くいくシェフもいないと思いますけどね、、。

 

自分は軽井沢の隣町の佐久市出身なので、軽井沢でやる上ではかなりのホームアドバンテージがあります。

 

今回書いたのはあくまで自分の見解。

正攻法でもこちらに書かれた出張料理の形でも無い方法でやってみても、とは思います。

しかし、何をしても飲食業としては厳しい時代になりましたね、、。

厳しくても世の中に食事が無くなる訳ではないですから、うまく需要を見つけて行けたらとは思います。