フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

白馬で学んだお客の好み。

Haxe(ハクセ)/Pork Knuckle(ポークナックル)焼き上がり!

 

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ハクセはドイツ語で豚のスネ肉の事。

 

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ドイツでは有名な料理で、特にヨーロッパ系と中国系のお客さんに喜ばれています。

まさかスキー場にハクセがあるとは思わないので、ビックリされますが(笑

こちらにベッタリとジャーマンマスタードを塗って、自家製のザワークラウトにジャーマンビールは最高だと思います。

しばらく故郷に帰れないでいる在日ドイツ人の方は本当に喜ばれて、骨の隙間まで綺麗に召し上がっていました。

 

ちなみにオーダーが入ってからでは調理が間に合わないので、事前予約でお出ししています。

 

ドイツでは焼く、煮るの調理法があるみたいですが、ウチはドイツ人のBernd(ベンさん)の指導の元でローストにしています。

マリネした肉を外は日本人なら硬いと思うくらいにパリパリに、中は二股に分かれた骨の間までしっとりジューシーに焼き上げますが、これが難しいから面白い。

最近思うんですけど、完璧な火入れは均等に入っていれば良い訳でも無く、この位の塊なら適当にムラがある方が食べ続けていて楽しい気もします。(勿論、ストライクゾーンの間でのムラ)

フランスでも温度管理されたような低温調理から炭やパイ包みのような古典的な火入れに変わってきていますしね。

 

自分もParis時代はPassage53に在籍していたのであの火入れは憧れなんですけど、ウチのお客さんがギリギリの火入れを好みません。

むしろそこから少し火が入った辺りが落とし所です。

それに均一な火入れは少量多皿のコースなら一口二口で飽きませんが、この位の塊は逆に良い意味で雑に焼き上げた方が美味しいと思います。

(焼き上げている間向きを変えたり、余分な脂を拭き取ったり、乾かないようにまめにアロゼをしたり、古典的ですけどかなり気を遣っていますが)

 

フランスから帰国した当初は地元長野に帰って、よく有りがちな東京でシェフをして星を獲得からの道を外れましたから他のシェフからはドロップアウトしたと言われましたが、白馬で全く好みの異なる外国人客を相手にしながらしっかりお客さんのニーズに沿った料理を出す事を思い出した気がします。

(自分の思い描く理想の料理も作りたいので、そちらは軽井沢でと考えています。)

 

真空して温度管理されたお湯にポチャンなんかより、やはり料理人の手と勘で焼き上げるのは面白いですね。

訪日外国人客向けのメニューなので日本人のお客さんには合わないと思いますが、自分が来て4年経って白馬ではかなり飛び抜けて海外向けのレストランになってきた気がします。