フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

明けましておめでとうございます'17

明けましておめでとうごさいます。

 

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今年も白馬で総料理長を務めるホテルレストランで新年を迎えました。

宿泊のお客様も外国からが多い事ので、スタッフもワーキングホリデービザで日本に来ている外国人スタッフばかりです。

 

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外国人に囲まれて、日本とは思えない中での新年でした。

これはこれで楽しいものです。

 

2017年を迎えて、もう1度自分の考えをまとめてみたいと思います。

 

フランスでも凄いシェフを見てきたので、この業界で自分が生き残っていくにはどうすれば良いかを考えました。

それには地元で勝負するのが1番という事でフランスから本帰国しました。

 

日本の飲食業は長時間労働で休みも無く、給料も他の業種と比べて多いとは思いません。

ひと昔前ならフランスから帰国してシェフになれば昔の何倍も給料を貰える、なんて話もありましたが、実際にはネット社会になりお客さんの方が飲料に関しても詳しくなってしまったので売り上げは上がりません。

そもそもフランスから帰国してシェフをやっての成功事例は社会にそのニーズがあったのと料理人の夢が上手くリンクした訳で、更にライバルが少ない中で沢山のパイを分けられた環境があったからだと思います。

今ではフランス帰りは珍しくありませんし、当たり前のように皆が新規オープンするので、ただでさえ少ないフランス料理のパイを皆で取り合う状態でしょうか。

お客様も知識が豊富なので、間違えれば簡単に新しいお店に移られてしまいます。見切りが早く、あまり長い目では見てくれません。

はっきり言えば今の飲食業(フレンチ業界は特に)にあまり開業するメリットは無いと思いますし、やるなら昔以上に準備が必要なのかもしれません。

 

自分が運が良かったのは、地元に軽井沢というリゾートがあった事です。リゾートのメリットは集客の必要が無い事です。

シーズンなら来ますし、オフシーズンなら来ません。お客さんの流れが分かり易いです。

 

それに立地やブランドイメージも素晴らしい。

都市部からの距離、アクセス。長野県が持つ野菜や果物が美味しいブランドイメージ。

飲食業は儲からないと思いますが、シーズン中なら利益を上げられるので、その時だけは素材を活かした飲食業をやれば良いのでは?と考えました。

 

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理想のレストランは?と聞かれたら迷わず「Bras」と答えると思います。

自分はブラのような料理が長野で作りたいです。

その為にも軽井沢のシーズンはGW、夏、紅葉ですから、その空いた時間は飲食をやらずに畑仕事に費やしました。

 

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元々、自分の実家は果樹園なので、果樹の手伝いもしながら空いている畑を貰って畑仕事を始めました。

 

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そこで祖母が元気なうちに畑仕事を教えてもらいました。

最初は耕耘機もまともに動かせなかったのですが、随分サマになりましたね。

 

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地元には新規就農の素晴らしい同世代の仲間が沢山いますから、自分は彼らが作らないけど自分は使いたいハーブや食用花を育てました。

 

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5月から種蒔きをすれば軽井沢の夏のシーズンには採り放題です。

 

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更に空いた時間には祖母に聞きながら親戚の畑や川にも行きました。

 

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川には天然のクレソンやワサビ、セリなどが沢山ありました。

こうした土地に入り込めるのも、親戚や知り合いが沢山いる地元だからです。

 

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勿論、秋になればキノコも沢山採れます。

 

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果樹園の特性を活かして果実酒も大量に仕込み始めました。

写真は漬け始めた初年度の物です。

帰国した年から漬けているので、古いのでようやく4年になりました。

 

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ワインが好きなので、県内のワイナリーには、積極的に足を運ぶようにしています。

今は日本ワインの勢いが凄いですし、長野県はワイン県を目指して動いています。

僕は地方でフランス料理の成功する場所は長野県しか無いと考えています。

地産地消と言っても、ワインまで数多く揃えられるのは長野県だけです。

北海道は都市部からは遠いですし、海から近い場所は海の幸を活かした鮨や和食が強いと思います。これも長野県の海無し県のメリットです。

 

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フランス時代からワインを勉強していたので、帰国後も軽井沢で行われるワイン会の料理を担当させて頂いてます。

 

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こちらはDRCエシェゾーの会のワイン。

料理人の小遣いでは購入出来ませんが、こうした機会を頂いて沢山の一流ワインを飲ませて頂きました。

この経験は地元の活動に活かしたいと考えています。

 

軽井沢の閑散期にはフランスにバカンスを考えていました。

元々、このフリーな働き方を始めたのも、冬にバカンスでフランスに行く為です。

冬なら食材の移動も苦ではありません。

 

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目的の一つはワインの回収です。

パリ時代から日本では買えないワインの購入先を作っていました。

何回も通った結果、自分の分を毎年確保してくれています。

こうした方々にお土産を持って引き取りと同時に直接お礼がしたかったからです。

 

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今思えば、よくこんなワインが買えたと思います、、。

 

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2つ目はワイナリーの訪問です。

県産ワインの位置を正確に把握する為にも、やはりフランスの本場のワインを飲んで、その味わいを抑えておきたいですね。

 

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3つ目はフランスの調味料の調達です。

軽井沢の出張料理では少量で品質の良い物が求められます。

 

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バター、塩、スパイス、オイルなど、日本未入荷の物もパリの友人シェフにお願いして取り寄せて頂いてます。

 

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4つ目は食べ歩きです。

知り合いのお店を中心にガストロノミー、ビストロと色々と食べ歩いて、今のフランスを感じてきます。

フランス料理の料理人ですから、やはり本場の料理は味わいたいですね。

 

帰国して思ったのですが、日本に長く居るとまた日本の空気に染まりきってしまう気がします。

ですから年1回でもフランスに来て、フランスの空気に触れてフランス語を話す事は凄く大切な事だと思います。

自分の中のフランスをいつまでも残しておく為です。

 

1年の流れが上手く出来てはいたのですが、どうしても冬の収入は弱かったです。

ところが、昨年から白馬のホテルレストランのシェフの依頼があったので引き受けました。

 

ここは外国人オーナーなので公用語は英語。

短期留学シェフみたいで、かなり良い経験になっています。

やはり今の時代は料理人でも英語くらいは話したいですね。

スタッフも外国人が多いので凄く刺激的で、更には冬しか働かなくて良いというのも自分にはメリットでした。

 

自分はフランスではガストロノミーでもビストロでも働いてきました。

軽井沢ではシンプルで素材の良さを活かしたガストロノミーを提供し、酒飲みの外国人が集まる白馬ではビストロの料理を提供しています。

自分のフランスの経験が全部活かせています。

あくまでメインは佐久、軽井沢なので、白馬はこれから数年で誰が来てもある一定のクオリティの物が作れるレシピを構築して、コンサルタントで動けるのが理想だと思います。

まだ30代なのでこの生活でも耐えられますが、40代以降では厳しいですからね、、。

 

 夏は軽井沢、冬は白馬。

合間に畑仕事、バカンスでフランス。

綺麗に1年間が回るようになってきました。

今はお店を持たないスタイルですが、空き家などを改修してテストキッチンを作り、そこから色々と発信出来たらと考えています。

将来的には60歳近くには畑メインの週末レストラン、農家オーヴェルジュを目指します。

その為にも今はそれぞれのクオリティを上げながら、更に充実した1年にしていきたいと思います。

今までの経験を活かして、更に地元で活躍出来るように頑張ります!