フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

軽井沢でメオ・カミュゼ会(その2)

今回のメオ・カミュゼ会で準備した料理は全部で5品。

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「佐久穂きたやつハムの生ハム、ワラビ、地元さんのシェーブル」

実はここでクレソンのブルーテを出そうと思っていました。この日は暑くなる事が分かっていたので、冷たいスープにシェーブルを浮かべれば良いかと思っていました。
前の週に採りに行った時は良かったのですが、前日採りに行って作ってみるとあまり美味しくない、、。2日目のサラダに使う事にして微妙に変えました。
遠くから採ってくるので、なかなか食材の状態の把握は難しいですね、、。

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「アスパラ3種(緑、白、紫)をそれぞれの調理法で」

東御、中野を周って良いアスパラを揃えました。白はシーズン終わりで有るか無いかだったので、ある時にピュレを作ってババロアに。規格外になるような太い緑アスパラはこの場で塩茹でして芯がほんのり温かい状態で盛りました。紫は色を活かす為に薄くスライスして添えました。
ワインに近づける為にフォアグラのコンフィを少しだけ。ソースは本来はムースリーヌを付けたかったのですが慣れない別荘の調理場で1人で10名分の調理なので無難にレモンソース。アクセントにアーモンドとアーモンドオイルを。

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「筍のキャラメリゼ、タモギ茸、平茸、温泉卵」

たまたま中野に行った際に筍があったのでメニューに入れてみました。採りたてとはいかないのでアク抜きしてバターとグラニュー糖でキャラメリゼ。タモギ茸、平茸、温泉卵を添えて筍味の泡をかけて最後にノアゼットオイルを一振り。

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「信州黄金シャモのロースト、コゴミ、大麦とアマランサスのリゾット風」

信州黄金シャモは1羽ローストしてバラして乗せました。
東御に地元産の大麦とアマランサスがあったのでリゾット風に。最近よくフランス料理のお皿に赤い葉(アマランサス)が乗っていますが、本来はキビのような雑穀の健康食品です。葉は自分で栽培していたので、リゾットと葉とでアマランサスを盛ってみました。

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SPF豚のロースト、冬菜、クルミのピュレ、ワサビマヨネーズソース、ワサビの葉、生ハムの泡」

SPF豚は特定病原菌がいない豚です。出産時に産道を通ると病原菌が付いてしまうので帝王切開で豚を出産させたモノを言います。無菌では無く、通常の豚よりも菌が少ないので病気をしないで健康に育ちます。その分良い肉質になるという事ですね。
親戚の川にクレソンを採りに行った際に摘んだ適当な大きさのワサビの葉とワサビマヨネーズ、緑物が欲しかったので冬菜を添えました。

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3月のフランスに行っている時に5月のワイン会はメオ・カミュゼだと聞いていました。悩んだのが、この時期の長野はアスパラと山菜しか無いのに無理して赤ワインと合わせるかという事でした。主催者の方ならいくらでも東京の優れたシェフを呼べると思うのですが、毎回自分に依頼されるのは軽井沢で長野県の今を食べれるのと、自分にはある程度のワインの知識があるのでワインとの相性という点で間違い無い料理を作る事だと解釈しています。
メオ・カミュゼに白もありますが、このハイクラスワイン会にオー・コート・ド・ニュイは出ないでしょうからね、、悩みました。
結局、ソムリエO氏と相談した結果、肉類まではあまり気にしない事になりました。

以前、パリのワイン屋の主人とブラインドでワインを飲んでいた時、ブルゴーニュは分かるのですが村名を当てろと言われました。その際に「スパイスの要素が拾えるか?拾えないならヴォーヌ・ロマネだ。」と言われました。拾えたらジュヴレ・シャンベルタンやモレ・サン・ドニという事ですね。
今回はヴォーヌ・ロマネと言う事で、今回の肉類には胡椒は使っていません。かけるとせっかくのワインの邪魔になると考えました。
今回のワイン会はあくまでワインがメインでマリアージュ、料理との相性を楽しむ会では無いので極端に言うと水のような料理が良いと思っていました。料理を食べて直ぐに水やワインに行くようでは味が濃過ぎると考えていました。(あくまでイメージです。)
東京から暑い中、新緑を眺めながら別荘に到着。席に着いて食べたい料理は⁇
今回のお客様からは絶賛して頂き「本当に爽やかな料理」と褒めて頂きました。
普段からFacebookを通して東京の一流店で食事をされている方々と知っているので、そうしたお客様に狙い通りに褒めて頂けたのは素直に嬉しかったです。

今回からは2日連続という事で次回は2日目を書いていきます。

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