フランス帰りシェフの信州田舎暮らし。

8年前にフランス料理修業を終えて故郷の佐久市に帰ってきました。夏は軽井沢で出張シェフ、冬は白馬でホテルの総料理長。畑仕事にワイナリー巡りに11月は1ヶ月のフランスバカンス。今迄に無い料理人の生き方を模索中。

打ち合わせ前に畑見学。

今月の伊那「ざんざ亭」コラボ打ち合わせの為に伊那市に来たので、以前から行きたかった農園にアポを取って行ってきました。

f:id:monsieur0204:20160608234230j:image

軽井沢でお世話になっているレストランの副料理長のお父様が趣味でやっている農園です。

毎回、軽井沢のレストランに送られてくる食材が趣味レベルでは無いので、1度伺いたいと思っていました。

f:id:monsieur0204:20160608235129j:image

ミニ人参の横でヴィオラが咲き乱れています。

f:id:monsieur0204:20160608235241j:image

こちらはキウイ。

サルナシなど果実酒に仕込んだら面白い食材もたくさんありました。

f:id:monsieur0204:20160608235336j:image

ハーブや食用花なども手掛けていますが、現在は生食用の葡萄が中心だそうです。

何処かの結婚式で出された葡萄が美味しくて、その食べた種を大事に持ち帰って育てたとか。

それから葡萄作りに魅入られて、他の種類も育てるようになったそうです。

凝り性ですよね、、。

f:id:monsieur0204:20160608235543j:image

本当に趣味レベルでは無い立派な畑でした。

自分も調理の仕事の傍らで畑をやっているので、他の方のやり方も気になります。

今回の訪問で見たものを参考にしようと、長々と質問攻めにしてしまいました。(この日はお仕事の合間を縫って、休憩時間で案内して頂きました、、。)

参考になる事も多かったので、自分の畑にも活かしていきたいと思います。

 

稲の植え直しも終了。

ウチの田んぼの植え直しをしてきました。

f:id:monsieur0204:20160608130251j:image

機械で植えた後の抜けた苗や植えられなかった箇所を手で植え直していきます。

田んぼを回ってみると意外と植えられるものです。

f:id:monsieur0204:20160608130419j:image

直した分だけでも結構なお米になりそうです。これで家族の食べる1年分の米は賄えそうですね。

 f:id:monsieur0204:20160608130431j:image

6月の軽井沢は週末だけ集客が見込めるので、完全予約制で予定が組み易い出張料理。

来週は僕の貯蔵するワインが飲みたいと言うお客様が多いので、東京でワイン会も開催します。

それ以外は基本的に夏の繁忙期に使用するハーブや食用花の畑仕事や家業の果樹園の摘果作業、ワイナリーツアーをやっていきます。

あまり調理は利益が上がらないので、しばらくは休業ですね。

畑の土を弄りながら次回や来月のワイン会のメニューを悶々と考えていきますか、、。
様子を見ていると今年の軽井沢の6月週末は例年以上に集客が見込めそうなので、来年は週末だけ少し調整しようかと考えています。

フリーランスでやっていますが、リゾート地で集客時期が分かり易い事から色々な事に挑戦できます。

調理、畑、ワインツアー、フランスの買い出し、レストランのコンサルタント、、かなり1年間の流れがしっかりしてきました。

 

毎年恒例のワラビ採り。

先日は小谷(おたり)村の山菜講習でしたが、今回はいつものホームグラウンドでお店の若いスタッフを連れて朝からワラビ採りに行ってきました。

f:id:monsieur0204:20160608014537j:image

毎年、ワラビ採りの日は快晴で気持ちがイイです。

 f:id:monsieur0204:20160608014624j:image

天気とは裏腹にやたらと寒かったので、快晴の割には防寒装備です、、。毎年、採っている途中で暑過ぎてダウンしてますから、今回は採り易い気温で冷たい風が心地良かったです。

f:id:monsieur0204:20160608015303j:image

1本見つかれば大抵は固まってたくさんありますから、そうした場所を探していきます。 

f:id:monsieur0204:20160608014922j:image

例年に比べたら太くて立派なワラビがたくさんありました。

 

f:id:monsieur0204:20160608015019j:image

ここにも、、。

f:id:monsieur0204:20160608015007j:image

こちらは3本まとめて。

(この位の場合は後日来られる方々の為に採らないでおきます。)

 

f:id:monsieur0204:20160608015123j:image

ワラビ採りを終えたらいつもの松代にある「麺味座(めんみくら)」さんでおしぼりうどん。

 f:id:monsieur0204:20160608015140j:image

おしぼりうどんはこの辺りの特産である辛味大根の下ろし汁に味噌を溶いて食べる名物うどんです。 

暑い中、ワラビ採りをした後の辛味の効いたおしぼりうどんが最高です。

うどんを食べて温泉入ってのお決まりコース。帰りにいつもお世話になっている苗屋さんに採ったワラビをお裾分けしてきました。

 やっぱりこの時期の山菜採りは最高に楽しいです。

最高のひと時の演出を考える。

先日も軽井沢に出張料理に行ってきました。

 
今回はゲストの方がかなり偏食という事で、問題無さそうな食材を探りながらメニューを考えました。
 
f:id:monsieur0204:20160605080235j:image
 
最近、お気に入りの山羊乳のババロア
山羊の癖が嫌われるかと思い、少し控えめに。
緑の泡も山独活でやりたいところですが、癖の無いほうれん草で作りました。
 
f:id:monsieur0204:20160605080513j:image
 
魚が全てNGという事で、アスパラ、小カブ、モッツァレラ、温泉卵を合わせて前菜にしました。
好物を教えていただいた際に癖の無いフロマージュが入っていたので、皿にボリュームを持たせる為にモッツァレラを使いました。
 
次に焼いたアスパラも準備。
先日、好評だったルバーブのソースと合わせてみました。
写真はいつも参加者の方から頂くのですが、うっかり食べてしまったという事でありません。
 
f:id:monsieur0204:20160605080724j:image
 
玉ねぎのキッシュとパンチェッタ。
 
以前、こちらの別荘で作りましたが、リクエストがあったので再度作りました。
僕がパリ時代に働いていたPassage53の玉ねぎチョリソーを改良しました。
 
f:id:monsieur0204:20160605081053j:image
 
お肉は信州和牛とリクエストがあったので、塊を焼きました。
少し火を入れ気味にしました。
付け合わせはこの時期の風物詩、根曲竹をバターと一緒に炊きました。
 
料理はデザートも含めて6品準備。この日も大変喜んで頂けて良かったと思います。
 
f:id:monsieur0204:20160605081309j:image
 
料理を出し終えてからはワインをご一緒させて頂きました。
「Chateau Mouton Rothschaild'86、'88」
1986年はパーカーポイント100点です。
色々ワインは飲んでいるつもりでしたが、よく考えたらムートンは初めてでした。
やはり素晴らしいワインですね。
 
テラスに焚き火を準備してゲストのピアノの生演奏にムートン、、こういうのは軽井沢の出張料理ならではだと思いますし、何とも贅沢な体験でした。
自分は最高のひと時を提供する側でもありますから、こうした体験をさせて頂けるのは本当に良い経験になります。
軽井沢でもっと素敵なひと時を過ごして頂く為にも自分が何をしなければならないのか、自分のお店の事も含めてここでしか出来ない事をよく考えていきたいですね。
 

小谷村で山菜講習。

小谷(おたり)村に根曲竹、山菜採りの講習に行ってきました。

先ずは集合場所近くの食堂で腹拵え。

f:id:monsieur0204:20160603224206j:image

こちらは熊カレー。

f:id:monsieur0204:20160603224234j:image

こちらは熊汁。
小さな食堂にも熊肉などのジビエ料理があるのが、何とも嬉しいですね。
とても美味しかったです。

f:id:monsieur0204:20160603224535j:image

腹拵えを終えて初日はワラビ採りです。
宿に荷物を置いて雪の無いスキー場を登っていきます。

f:id:monsieur0204:20160603224558j:image

最近は雨が少なく、あまり育ちが良くなかったので収穫はイマイチでしたね、、。

f:id:monsieur0204:20160604002136j:image

夜は宿のお母さんの山菜尽くしです。
天ぷらや焼きの根曲竹が美味しかったです。

f:id:monsieur0204:20160604002258j:image

夕食後は関西の鰻に山椒で皆で持ち寄りワイン会。

f:id:monsieur0204:20160604140646j:image

2日目は朝から根曲竹と山菜採り。
根曲竹を採りに行くのはこれが初めて。

f:id:monsieur0204:20160604140726j:image

とにかく山の奥へ奥へと進んでいきます。
トランシーバーなどで連絡を取りつつ、デジタルの方位磁針で方向を確認。

f:id:monsieur0204:20160604141455j:image

藪の中には立派な根曲竹がありました。

とにかく動き辛い位の場所に美味しそうな物が生えています。

f:id:monsieur0204:20160603224814j:image

採りたての根曲竹をその場で齧りましたが、アクやエグみも無くビックリする位美味しかったです。これは採りに行った人の特権ですね、、。

f:id:monsieur0204:20160604141059j:image

こちらは少し育ち過ぎですが。野生のアスパラ「シオデ」です。
フランスのアスペルジュ・ソヴァージュとは別物です。

f:id:monsieur0204:20160604141512j:image

他にもアマドコロやイタドリイラクサなどを収穫してきました。
しかし、根曲竹採りはこの時期の風物詩ですが、聞きしに勝るハードさでした、、。竹藪が凄過ぎて身動きが取れません。

f:id:monsieur0204:20160604141804j:image

場所を変えてこちらはクレソンの群生地です。

f:id:monsieur0204:20160604141834j:image

こちらも採り放題ですが、お昼ご飯の時間もあったのでほどほどに。

採った根曲竹は近くのレストランに持ち込んで調理して頂きました。

f:id:monsieur0204:20160604141436j:image

下処理をして茹でて塩のみですが、これがやたらと美味しい。
こうした美味しさを自分のお店でも表現したいですよね、、。

f:id:monsieur0204:20160604141641j:image

帰ると名人が前日、自分達が摘んだ物とは比べ物にならない立派なワラビの山。さすが名人です、、。

県内、他のところに比べても小谷村は素晴らしい食材の宝庫ですね。
地元の山菜名人から教われる事はまだまだたくさんです。しっかりその知恵を引き継ぎたいと思いました。
大変、中身の濃い小谷村山菜講習でした。


今年も田植えのお手伝い。

地元の米農家さんの田植えのお手伝いに行ってきました。

f:id:monsieur0204:20160603004233j:image

この日は田植えチームとは別に田植え予定の田んぼに指示された枚数の苗を入れる作業からです。

f:id:monsieur0204:20160603004324j:image

今年は忙しくて田伏せの仕事は出来ませんでした、、。
田伏せの作業をして育った苗のトレーを田んぼから剥がしていきます。

f:id:monsieur0204:20160603004635j:image

剥がした苗のトレーを車に積んで、目的の田んぼまで移動して投げ込んでおきます。
後は田植えチームが田植え機と一緒に来て田植えをしていきます。

配り終えたら田植えの済んだ田んぼに放置してある苗のトレーを回収して洗浄していきます。

さすがにこの日は真夏日でしんどかったです、、。

田植え時期は何処も助け合いだと思いますし、こうした助け合いが何とも田舎の生活らしいと思います。自分も手が空いていたら積極参加です。
この辺りは祖母の生家がありますから、馴染みの土地ですしね。(案外、あそこの孫で通ります。)

f:id:monsieur0204:20160603004959j:image

キッチンの仕事も楽しいですけど、外の仕事もやっぱり楽しいですね。

軽井沢でブルゴーニュ秀逸生産者ワイン会。

先日ですが2日間、軽井沢の別荘で開かれる恒例のDVD軽井沢ワイン会の出張料理をしてきました。
今回のテーマは「ブルゴーニュの秀逸な生産者の村名ワイン」です。

f:id:monsieur0204:20160527070031j:image

Jacques Selosse V.O. (2013 deg.)

Vogue Bourgogne Blanc 2009
d'Auvenay Auxey Duress Blanc 1998
Fourrier Gevrey Chambertin 2012
Georges Roumier Chambolle Musigny 2009
Georges Roumier Chambolle Musigny 2005
Emmanuel Rouget Vosne Romanee 2005
Meo Camuzet Vosne Romanee 2004
Leroy Vosne Romanee 2004

今回はいつもよりは会費を抑えたカジュアルな内容ですが、この面々だと村名ですが村名クラスのクオリティーでは無いですよね、、。
ルーミエは当たり年の2005年と2009年の飲み比べ。ヴォーヌロマネ村の秀逸生産者メオ・カミュゼ、エマニュエル・ルジェ、ルロワの飲み比べなど面白い内容でした。

料理は5品を作りました。

f:id:monsieur0204:20160527070449j:image

佐久産山羊乳と新玉葱のババロア、山独活の泡

佐久市家畜改良センターがあり、たくさんの山羊を飼育してます。
これから山羊乳は栄養価が高い事や牛乳のようにアレルギー物質が少ない事から注目されると思います。

f:id:monsieur0204:20160527070846j:image

昔の人は臭いと言うのですが、今は飼料や飼育法、搾乳の仕方まで全然違うので全く臭くありません。

f:id:monsieur0204:20160527070923j:image 

自分も先日行われた山羊乳試飲会に行ってきましたが、最後にほんのりシェーブルの香りが上がる濃厚な牛乳というイメージでしょうか。
美味しかったです。

今回はその山羊乳をババロアに仕立てて、山独活に山羊乳を合わせた泡を添えてみました。

f:id:monsieur0204:20160527071217j:image

八千穂漁業」信州サーモンのカルパッチョ、ドイツトウヒと「藤井農園」ルバーブのジュレ、「アトリエノマド」の小カブ

f:id:monsieur0204:20160527072032j:image

先日、教えて頂いたドイツトウヒからイメージした一皿です。

f:id:monsieur0204:20160527071400j:image

この先の新芽を頂きますが、昨年初めて試食した時に信州サーモンのピンクとこの鮮やかな緑色、柔らかな酸味が合うな、と思っていました。
今年は早速チャレンジです。

この時期の野菜や花を散らして、藤井農園さんのルバーブを搾ったソースでまとめました。

f:id:monsieur0204:20160527071729j:image

あまり野生の物を盛り過ぎてお腹を壊されても困るので少しビビりながら添えましたが、先日ヨーロッパの様子を写真で見たらこんなにたくさん盛っています、、。
自分でも食べて大丈夫か確認の繰り返しですが、次回はもう少し盛っても良いかもしれませんね。

f:id:monsieur0204:20160527072015j:image

高山村産コシアブラと根曲竹のフリットラディッシュおろし

今年は暖かくてタラの芽もコシアブラも終わっていたのでどうしたものかと考えていました。
たまたま中野のお肉屋さんに話したら「高山村に根曲竹を採りに行った。」と言われたので代わりの食材として高山村に向かいました。
探すと根曲竹と一緒にコシアブラがありました。

f:id:monsieur0204:20160527073411j:image

この辺りはコシアブラの終わりと根曲竹の始まりが重なるそうです。無事にコシアブラも手に入ったので根曲竹と一緒にフリットにしました。

f:id:monsieur0204:20160527072538j:image

武石産信州地鶏のバロティーヌ、カエデカサと下仁田葱、ワラビ、天然クレソンレモングラス風味の泡

武石の地鶏のモモを捌いてバロティーヌにしました。中にナッツなども食感として加えようか考えましたが、イメージに合う物が無かったので却下。

f:id:monsieur0204:20160527073340j:image

下は下仁田葱と近所のおじさんに頂いたモミジカサとワラビ。この時期は本当に山菜が豊富です。
フランスの高級バターメーカー「ボルディエ」のレモングラス風味のバターを加えたソースを泡立てて添えました。

f:id:monsieur0204:20160527073109j:image

周りのクレソンもいつもの天然物です。

f:id:monsieur0204:20160527073153j:image

中野産SPFポークのロースト、東御産アスパラと中野産黒アワビ茸、山葵サワークリーム

暑い時期でワインもブルゴーニュなので赤肉は止めて繊細な無菌豚をメインにしました。

f:id:monsieur0204:20160527073304j:image

東御市は日本有数のアスパラの産地です。
今回の為に名人に頼んで太い物だけ分けて頂きました。
本当に素晴らしいアスパラが手に入りました。

f:id:monsieur0204:20160527073646j:image

硬い部分は落として緑を残して剥き過ぎないようにペティナイフで慎重に剥きます。
隣には豚と同じ産地の黒アワビ茸を添えました。

f:id:monsieur0204:20160527073903j:image

いつもの事ですが1人で10名分を別荘のキッチンで作るのはしんどいです。
冷たい料理は冷たく、温かい料理は温かく出したいのですが、そのあたりが出張料理の難しいところですね。
しかし今回も素晴らしいワインが頂けて、大変勉強になりました。

年越しした根菜類も終わりで今年の食材にもまだ早過ぎる。信州のこの時期はちょうど食材の変わり目で難しい時期でもありメニューも直前まで決まらなかったのですが、何とか問題無く乗り切りました、、。
食材が無いのでドイツトウヒやカエデカサなど面白い食材にも挑戦出来て、新しいメニュー開発にも繋がって良かったです。

探せばまだまだ知らない食材が信州にはある訳で、もっともっと信州を掘り下げて料理もワインも楽しめるようなメニューを考えていきたいと思います。

(今回でDVD軽井沢ワイン会も20回目だったみたいです。随分、たくさん素晴らしいワインを飲ませて頂きましたw)